更新日: 2021.09.20 その他暮らし

中小法人や個人事業主向けの一時支援金の申請は5月末まで。申請方法や注意点は?

執筆者 : 長崎元

中小法人や個人事業主向けの一時支援金の申請は5月末まで。申請方法や注意点は?
2021年3月8日に開始となった一時支援金の申請が、5月31日で締め切られます。
 
今回は、申請するための条件が前回と比べて複雑になっていることや、「事前確認」という、少し手間を要する手続きが追加されていることが、申請をためらう一因にもなっているのではないでしょうか?申請方法や注意点を見てみましょう。
長崎元

執筆者:長崎元(ながさき はじめ)

行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。

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一時支援金の申請・給付状況

下の図は、4月26日時点の一時支援金に関する申請・給付件数を示しています。申請件数は14万件、実際に振り込みまで完了した給付件数は10万件しかありません。昨年実施された持続化給付金の給付件数は、同じ4月26日時点で424万件なので、40分の1にも満たない数です。
 
これは、とてももったいないことだと思います。今時点で申請されていない方は、検討されてみてはいかがでしょう?
 

図1:一時支援金(左)と持続化給付金(右)の申請状況(2021年4月26日現在)
一時支援金ホームページおよび経産省ホームページ(※1)より抜粋
 

必要書類と誤りが起きやすいポイント

申請内容に誤りがあるとやり直しとなり、余計な時間が掛かってしまいます。そこで、スムーズに申請するために、必要書類と、間違いやすいポイントを確認していきたいと思います。
 

<必要書類>

申請に必要となる書類は、ご自身の事業の形態によって3つのパターンに分けられます。
 

(出典:中小企業庁 緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金事務事業「一時支援金ホームページ/申請に必要な証拠書類」(※2))
 
雑所得・給与所得がある方は少々書類が多いですが、おおむね6つの書類を集める必要があります。量が多くて面倒と感じる方もいるかもしれませんが、一つひとつを見てみると、用意が大変な書類はありません。すでに持っているものが大半です。宣誓・同意書と一時支援金に係る取引先情報一覧はイチから作る必要がありますが、記入事項はそれほど多くありません。
 
さて、必要書類を挙げたところで、間違いやすいポイントを見ていきたいと思います。
 

<間違いやすいポイント>

(1)写真が不鮮明
今回の申請では、書類を写真に撮って送ることができるので、ご自宅や会社にスキャナーがなくても、お手持ちのスマートフォンやタブレット端末などで写真を撮ればよいのです。
 
しかし、写真だと書類の文字が読めなかったり、必要な部分が写っていなかったりすることがあります。写真を撮る際は、解像度を上げてできるだけ大きいサイズで写真を撮りましょう。そして、撮った写真は、必ずご自身で見て「字が読めるか」「必要な箇所が写っているか」を確認するようにしましょう。
 
書類が写っていればOKではなく、「中の字が読めるか」ここが重要です。もし読めなければ、写真の再提出を求められ、その分、支援金が口座に振り込まれるのが遅くなります。
 
また、意外な落とし穴があります。スマートフォンで撮った写真をパソコンに送って、パソコンから申請する、という手順を踏む方もいると思います。スマートフォンからパソコンへ写真を送るときに、送り方によっては、“データのサイズを落として送る”、ということが起こります。
 
そうすると、スマートフォンで撮った写真はきれいに写っているのに、パソコンで開いたら細かい字が読めなくなっている、ということが起きる可能性があります。十分注意しましょう。
 
(2)宣誓・同意書
この書類は、一時支援金のホームページ(※3)からダウンロードする書類です。書類をダウンロードし、ご自宅のプリンター等で印刷して使用します。署名欄が設けられていて、ここに自署(ご自身で名前を記入)する必要があります。
 
そのため、ファイルをダウンロードする⇒印刷する⇒自署する⇒スキャン・写真を撮ると、データから紙に印刷、紙に署名してから再度データに変換という、少々煩わしい作業が必要です。
 
用紙さえダウンロードできてしまえば、簡単に作成できる書類ではありますが、自筆の署名を忘れたり、前述同様写真が不鮮明だったりすることのないよう、気をつけましょう。
 
(3)一時支援金に係る取引先情報一覧
前述の宣誓・同意書と同じく、一時支援金のホームページからダウンロードします。
 
この書類の下部に“取引先”を記載する箇所があるのですが、主にご自身で事業をされている方の記入誤りが多いです。
 
ここに書く取引先は、販売先など、自身の売り上げにつながる顧客を記入します。仕入れ先ではありません。小売店や美容院などを営んでいる方など、不特定多数の一般の方がお客さまの場合は空欄でOKです。
 
取引先と書いてあるので何か書かなければいけないと感じ、苦肉の策で仕入れ先を書かれる方がいらっしゃいますが、こちらに書くのは売り上げに関する顧客なので、それに該当する人や企業がいない場合は、「空欄で提出」します。
 

調べても分からなかったら

申請方法が分からなかったり、どうしても用意できない書類があったりしたら、申請を諦める前にコールセンターに相談しましょう。相談にのってもらえます。
 
また、今回の支援金は原則、オンライン申請になっています。普段、パソコンを使わない方にとっては苦痛に感じる部分もあるかもしれません。そんなときは、サポート会場で申請を行う方法もあります。会場に書類を持って行くと、そこで係の人が申請を行ってくれます。
 
ただし、こちらも注意点があり、『事前確認』と呼ばれる手続きは、終わらせておく必要があります。予約制ですので、予約時に“必ず”持って行くものや、行く前にやっておかなければいけないことを確認してください。
 

分からないから申請しないはもったいない

パソコンの使い方が分からないから……
事前確認って去年はなかったのに……
 
やる前から、“難しそう”や“面倒そう”と感じて、申請しないという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、やってみたら意外と難しくはないかもしれませんし、難しかったら、聞けば良いのです。
 
申請期限も迫っており、あまり猶予はありません。迷っている方は、まずはサポートセンターに電話をされてみてはいかがでしょうか?
 
(※1)
経済産業省「一時支援金の申請・給付状況」
経済産業省「持続化給付金の給付実績と申請の流れ」
(※2)
中小企業庁 緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金事務事業「一時支援金ホームページ/申請に必要な証拠書類」
(※3)
中小企業庁 緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金事務事業「宣誓・同意書」
 
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

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