中小法人や個人事業主向けの「月次支援金」が開始! 申請条件や金額は?
配信日: 2021.06.08
今回は、月次支援金について見てみたいと思います。
執筆者:長崎元(ながさき はじめ)
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。
長崎元行政書士事務所 HP
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一時支援金の申請状況
5月24日時点の申請状況は、申請件数:38万件、給付件数:22万件です。申請件数は、一時支援金の申請手続きが完了した件数で、給付件数は実際に口座に給付金が振り込まれた件数を示しています。
(経済産業省「一時支援金の申請・給付状況」(※1)より引用)
4月26日時点の同データと比較すると、以下のとおりです。
(経済産業省「一時支援金の申請・給付状況」(※1)を参考に筆者作成)
申請件数は1ヶ月ほどで24万件増加しているのに対し、給付件数は12万件の増加にとどまっています。締め切り間近で駆け込みの申請が増えた影響もあると思いますが、申請件数の増加に、給付手続きが追い付いていない状況と考えられます。
この一時支援金では、申請から2週間程度で給付されていますが、数日程度遅れる可能性も考慮しておいたほうがよいでしょう。
月次支援金の給付対象
(経済産業省「月次支援金」(※2)を参考に筆者作成)
この要件は、前回の一時支援金と同じです。売上減少の対象となる月が替わっただけです。
●一時支援金:2021年1月~3月
●月次支援金:2021年4月~6月
そのため、一時支援金を申請し、実際に給付までされた方々は、要件(1)は満たしています。あとは要件(2)を確認するだけです。
今回初めて申請を検討される方は、要件(1)に書かれている「飲食店の休業・時短営業」という部分を見て、“飲食業に関係のない業種は申請できないのかもしれない”と感じるかもしれませんが、後半の「外出自粛等の影響」に該当すれば要件を満たすことになります。
例えば、エステサロンや小売業は、飲食店の休業や時短営業との直接的な関係はなくても、外出自粛の影響はとても受けやすい業種といえます。普段のお客さんが外出を控えたために売上が半減したのであれば、要件(1)は満たしているといえます。
もし、ご自身が給付要件を満たしているか分からないようでしたら、月次支援金のホームページ(※2)を確認し、サポートセンターに問い合わせてみましょう。
月次支援金の給付金
月次支援金の給付金の上限は、法人20万円、個人10万円です。前回と比較すると、法人・個人ともに3分の1になっていますが、今回は月ごとの申請が可能です。
4月、5月、6月それぞれで給付要件を満たしていれば、最大で3回申請することが可能です。よって、最大給付額は一時支援金と同額です。
(筆者作成)
上図の場合、4月と6月の売上が、前年または前々年と比べ、50%以上落ちています。そのため、4月分で1回、6月分で1回、計2回の給付金申請を行うことが可能です。この場合、最大で法人40万円(20万円×2回)、個人20万円(10万円×2回)を受け取れます。
一次支援金は、1月〜3月のいずれかの月で売上が半減していることが要件だったのに対し、月次支援金は月次の名のとおり、各月で申請を行うことができます。申請するチャンスが増えたと考えられるのですが、その分、申請漏れが起こりやすいともいえるでしょう。
ご自身がどれを申請したか、メモを取るなりして忘れないようにしましょう(パソコンやスマホからの申請となるので、ご自身の申請ページを見れば分かるようにはなっているはずです)。
月次支援金を申請するための事前確認
前回の一時支援金を申請された方は、覚えているのではないでしょうか? 申請前に「登録機関」を通した事前確認を行ったと思います。近所で登録機関が見つからない、事前確認の料金が登録機関ごとに違う、オンラインの事前確認しか対応していないなど、事前確認に手間取った人もいるのではないでしょうか。
月次支援金では、一時支援金で事前確認を行っている場合や、月次支援金の2回目以降の申請を行う場合、事前確認は不要となります。つまり、事前確認は一時支援金と月次支援金を通して“一度きり”で良いということです。
他にも、2回目以降の申請では不要となる書類があり、手続きの簡略化が図られています。かなり申請しやすくなると考えてよいでしょう。
(経済産業省「緊急事態措置又はまん延防止等重点措置の影響緩和に係る月次支援金の詳細について」(※3)より引用)
まとめ
月次支援金は、個人で最大10万円。昨年の持続化給付金と比べると10分の1、前回の一時支援金と比べても3分の1の金額なので、申請時の手間を考えると“コスパが悪い“と捉える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際は10万円を3回受け取れるチャンスがあります(最大30万円)。また、2回目以降の申請が簡単にできるよう工夫されています。
金額的には、現在の状況を好転させることは難しいかもしれませんが、少々手間でも申請手続きを行うことで受け取れる金額としては、決して小さくないのではないでしょうか。
利用できる制度はうまく使い、このコロナ禍を乗り切りましょう。
(※1)経済産業省「一時支援金の申請・給付状況」
(※2)経済産業省「月次支援金」
(※3)経済産業省「緊急事態措置又はまん延防止等重点措置の影響緩和に係る月次支援金の詳細について」
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表