コロナ禍における企業や個人事業主向けの国や自治体の施策って? 月次支援金と税金の猶予とは
配信日: 2021.06.19
今回は、コロナ禍で財務状況が大きく傷んだ企業や個人をサポートする国や自治体の施策のうち、月次支援金と税金の猶予について見てきます。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
月次支援金について
一時支援金に続いて、2021年の4月以降に実施される緊急事態措置、またはまん延防止等重点措置に伴う、「飲食店の休業・時短営業」や「外出自粛等」の影響により、売上が50%以上減少した法人・個人事業者等向けに事業の継続・立て直しやそのための取り組みを支援するものです。
概要は以下のとおりです。
給付額上限:中小法人等 20万円/月 個人事業者等 10万円/月
給付額=(2019年または2020年の基準月の売上)―(2021年の対象月の売上)
基準月・・・2019年または2020年における対象月と同じ月
対象月・・・緊急事態措置またはまん延防止等重点措置(以下「対象措置」という)が実施された月のうち、対象措置の影響を受けて、2019年または2020年の同月比で、売上が50%以上減少した2021年の月
<給付対象>
下記の2つを満たせば、業種・地域を問わず給付対象となり得ます。
1.緊急事態措置、またはまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業または外出自粛等の影響を受けていること
2.緊急事態措置、またはまん延防止等重点措置が実施された月のうち、措置の影響を受けて、月間売上が2019年または2020年の同じ月と比べて50%以上減少していること
過去に一時支援金を受給されていれば、事前確認は不要になります。
給付は店舗単位・事業単位でなく、事業者単位で給付しますので、特定の店舗・事業のみ月間売上が50%以上減少していたとしても給付要件を満たしません。具体的な給付対象の業種業態、給付対象とならないケース、具体的な必要書類等は一時支援金のリーフレットやホームページをご確認のうえ、申請が可能か否かをご判断ください。
税金の猶予について
国税においては、新型コロナウイルスの影響により納税が困難な場合、法人・個人の別、規模を問わずに納税を猶予する特例制度があります。
対象となるのは、下記の(1)(2)のいずれも満たす方が対象となり、対象となる国税は、令和2年2月1日から同3年2月1日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税等ほぼすべての税目が対象になります。
(1)新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1ヶ月以上)において、事業等に関わる収入が前年同期に比べておおむね20%以上減少していること
(2)一時に納税を行うことが困難であること
猶予期間は1年間で担保の提供は不要です。また延滞税もかかりません。
地方税においては、新型コロナウイルス感染症の影響等により、納税が困難な場合で下記のようなケースに該当する場合は、納税の猶予制度を受けられる場合があります。
1.財産に相当な損失が生じた場合
例:新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、消毒作業が行われ、備品や棚卸資産を廃棄した
2.ご本人またはご家族が病気にかかった場合
例:納税者ご本人または生計を同じにするご家族が新型コロナウイルス感染症に罹患(りかん)した
3.事業を廃止、または休止した場合
例:納税者の方が営む事業について、新型コロナウイルス感染症のまん延防止措置により、やむを得ず休廃業をした
4.事業に著しい損失を受けた場合
例:納税者の方が営む事業について、新型コロナウイルス感染症の影響により利益が減少し、著しい損失を受けた
これらの申請にあたっては、納期限等をご確認のうえ、お早めに税務署や都道府県・市町村税務担当窓口へご相談ください。
それ以外にもさまざまな猶予や支援金等があります
今回は、一時支援金と税金の猶予についてお話ししましたが、これら以外にも社会保険料や労働保険料の猶予、国民健康保険料の猶予や減免、各自治体によるさまざまな支援金等があります。詳しくは、ご自身が事業をされている、あるいはお住まいの市区町村の担当にご相談ください。
(出典)
経済産業省「月次支援金」
総務省「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方税における対応について」
財務省「新型コロナウイルスの影響により納税が困難な方へ 納税を猶予する「特例制度」」
独立行政法人中小企業基盤整備機構「休業・営業短縮協力に関する支援金(都道府県別)」
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表