児童手当特例給付が廃止。対象者と時期は?
配信日: 2021.07.05
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
そもそも児童手当とは?
児童手当とは、15歳の誕生日後の最初の3月31日までの児童を養育している方を対象に支給される手当です。支給額については下記の表のように児童の年齢によって区分されています。
児童の年齢 | 児童1人当たりに支給される手当の額 |
---|---|
3歳未満 | 一律1万5000円 |
3歳以上~小学校修了前 | 1万円 (18歳の誕生日後の最初の3月31日までの養育している児童のうち3番目以降の子は1万5000円) |
中学生 | 一律1万円 |
※内閣府 「児童手当制度のご案内」より筆者作成
しかし、児童を扶養している方に一定以上の所得があると、家族構成によっては上記表の金額にかかわらず、児童1人当たり一律5000円の特例給付になることがあります。今回問題となって廃止されるのがこの特例給付です。
特例給付の詳細については下記の表をご参照ください。
出典:内閣府 児童手当制度のご案内
児童を養育している方の所得が上記の額以上の場合、子ども1人当たり月額一律5000円の支給となります。なお、児童手当は毎月支払われるわけではなく、原則として、毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの分がまとめて支給されるようになっています。
児童手当の特例給付の廃止対象者となるのは?
特例給付の廃止の対象となるのは、年収1200万円以上の方と予定されています(子ども2人と年収103万円以下の配偶者の場合)。
また、この廃止の対象となる年収は世帯収入で判断するのではなく、主たる生計維持者の所得で判断されます。つまり、世帯全体で1200万円を超えていても、主たる生計維持者である方が1200万円を超えていなければ、特例給付の廃止対象とはならないのです。
今回の廃止によって約61万人の児童(全体の4%)に影響が及ぶと見込まれるものの、約370億円の公費削減が見込まれ、これを基に待機児童の解消に充てることが予定されています。
児童手当の特例給付が廃止されるのはいつから?
児童手当の特例給付が廃止されるのは2022年10月支給分からとなります。本改正が成立したのは2021年5月21日ではありますが、突然5月からということではなく、実際に高所得者への廃止が開始されるのは成立から1年5ヶ月ほど後となるため、年収1200万円以上ある方は現段階から心づもりをしておくべきかもしれません。
年収1200万円以上の方を対象に2022年10月から児童手当特例給付が廃止となる
2022年10月支給分の児童手当から、高所得者に対しても支給されていた一律5000円の児童手当特例給付が、年収1200万円以上の方(子ども2人と年収103万円以下の配偶者の場合)を対象に廃止される見込みです。
税制の改正も含め、今後、いわゆる高所得のサラリーマン世帯には厳しい期間が続く可能性もあります。まさに2020年代は高所得者であっても、特に子育て世帯については、お金の流れに関して敏感にならねばならない時代の転換時期といえるでしょう。
出典
共同通信 改正児童手当法が成立
内閣府 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の概要
内閣府 児童手当制度のご案内
執筆者:柘植輝
行政書士