更新日: 2021.07.13 その他暮らし

個人事業主が経理処理をする上で必要なことって?

個人事業主が経理処理をする上で必要なことって?
個人事業主にとって、お金の管理や帳簿を付けるなどの経理業務は欠かせません。会社員のように毎月給与が銀行口座に振り込まれているわけではなく、入金されたすべてのお金の使い道は自由です。
 
しかし、それで生活をして事業資金を賄い、そして税金や社会保険料を納めることになります。今回は、個人事業主(フリーランス)のお金の管理として、報酬や経費の経理処理で必要なことを説明します。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

個人事業主の給与は?

法人の場合は給与を経費として処理できますが、個人事業主は利益を報酬として費用計上できません。
 
個人事業主は生活部分と事業部分が直結しているため、たとえ生活と事業のお金を分けて管理していても、税金を計算する上では一体と考えるからです。
 
利益をすべて生活費に使うことに制限はありませんが、事業用の運転資金や税金、社会保険料等の支払い部分を確保しておく必要があります。そのためには適切な資金管理が必要となります。
 
ただし例外として、青色申告を行っている場合、生計をともにしている配偶者や親族への給与を経費として計上することができる「青色事業専従者給与」というものがあります。
 

経費にはどのようなものがあるの?

経費は、当然ですが事業に関係するものだけが費用計上できます。例えば、商品の仕入れや事務所を借りていればその賃借料が経費となります。
 
では、自宅で事業を行っている場合を考えてみましょう。電気代やインターネットなどの通信費は、生活で使っている時間と仕事で使った時間で案分することにより費用計上ができます。
 
また、賃借料相当の考え方は、自宅が賃貸の場合は家賃がその対象となり、仕事で使っている部屋分を床面積によって案分することになります。
 
持ち家の場合は固定資産税、住宅ローンの利子、火災保険料など住宅の保有により発生する部分がその対象となり、賃貸の場合同様床面積で案分することになります。持ち家の注意点は、住宅ローンの元本の返済分は経費とできないということです。
 
また、住宅ローン控除を受けている場合は、事業で使用している部分に関わる住宅ローンに関しては控除を受けることができず、さらに事業で使用している部分が50%を超えている場合は、住宅ローン控除を受けることができませんので留意しましょう。
 

個人事業主の経理にだけ出てくる「事業主貸」「事業主借」って?

個人事業主は生活部分と事業部分のお金を分けて管理しますが、結局は事業で得たお金を生活費として使うことになります。その場合に出てくるのが「事業主貸」「事業主借」です。
 
これは法人の経理の勘定科目では出てこない個人事業主固有のもので、事業で得たお金を生活で使う場合には「事業主貸」、逆にプライベートなお金を事業のために使う場合は「事業主借」と考えていただければ結構です。
 
具体例にいうと、事業用口座から生活費として20万円使う場合の仕訳は、
事業主貸 20万円 / 預金 20万円
となります。
 
逆に、プライベートなお金を事業用の口座に20万円入金した場合の仕訳は、
事業主貸 預金 20万円 / 事業主借 20万円
となります。
 
事業主借で多いのは、プライベートのクレジットカードで事業用のものを購入することなどが挙げられます。
 

どのような経理業務を行えば良いの?

普段の整理も大切ですが、特に月末に再度確認しておいたほうが良い項目を見ていきます。


1.領収書・請求書・納品書等の整理
2.経費の支払い漏れ
3.売上の請求、売掛金の回収状況、通帳の記帳
4.(現金を扱っていたら)現金の確認
5.会計ソフトやエクセルへの記帳や入力

 

日々の積み重ねが大切

日々の業務を行っていると、お金(利益)を直接生み出さない経理業務がおろそかになってしまうかもしれません。
 
しかし、毎月きちんと帳簿を付けておくことによって、特に確定申告時に慌てることがなくなるだけでなく、毎月の売上の変化が分かったり、何年もやっていると前年同月比での変化が見えてきたりします。
 
そうすることによって資金繰りも分かってきますし、急に経費が増えていれば何が問題だったかも分かりますので、財務の面でも利点があります。
 
今年の下半期も始まったばかりです。ここでもう一度経理業務について見直してみませんか。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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