採択率3割? 事業再構築補助金は狭き門
配信日: 2021.08.03
“コロナ禍だから多少緩いのではないか?” “いやいや、他の補助金より厳しいのでは?”と、その採択率(※1)についてはさまざまな臆測が飛んでいましたが、結果は30%の採択率でした。
詳しく見ていきましょう。
執筆者:長崎元(ながさき はじめ)
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。
長崎元行政書士事務所 HP
https://www.office-hnagasaki.com/
公募採択結果は?
「緊急事態宣言特別枠」という、緊急事態宣言により深刻な影響を受けた事業者のために設けられた「別枠」でも採択率は55%です。
(出典:事業再構築補助金ホームページ(※2)の情報から表を作成)
事業者にとって申請が高いハードルであった可能性
今回の補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナを見据えて思い切った事業再構築を行う企業の“挑戦”を支援することを目的としています。
新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少し、このまま今の事業を続けていても回復が見込めない、それなら、リスクを取ってでも新しいことにチャレンジしてみよう! という事業者を応援する施策です。
それにもかかわらず、採択率3割というのは、少々厳しいのではないかと筆者は感じてしまいます。また、今回の申請はインターネットを使った電子申請であり、“認定経営革新等支援機関“と呼ばれる専門家による事業計画の確認も必須です。
さらに、その事業計画には枚数制限(15ページ以内)も設けられており、事業者が自身で申請するには、かなりハードルの高い内容となっています。パソコンを使い慣れていなかったり、計画書を作り慣れていなかったりする事業者も少なくないと思います。
また、支援機関の確認書が必要といわれても、何をどうすれば確認書が手に入るか分からない事業者もいるはずです。それを聞こうにも、電話がつながらないという始末です。
さらに今回の公募では、申請の締め切り日にアクセスが集中し、その結果、サーバーがダウンしました。申請締め切り日に申請ができないという状況が発生したのです。
事業者が使いやすいシステムが求められる
筆者個人としては、電子申請が進むのは良いこと考えています。しかし、それは、単に電子化すれば良いというものではないと考えます。
補助金の主役は事業者であり、事業者が使いやすいシステムでなければ意味がありません。本当は申請したかったのに、難しそうだからと諦めてしまった事業者も中にはいるかもしれません。
事業再構築補助金は、最大で1億円が補助される大型補助金です。ぜひ、その目的のとおり、ウィズコロナ・ポストコロナにかける事業者のための補助金であってほしいと思います。また、今回、残念ながら不採択だった方は、事業計画を見直し、第2回・第3回の公募にぜひチャレンジしていただきたいと思います。
そして最後に、補助金申請の面倒を一気に解決できる方法は、補助金の専門家に依頼することも選択肢です。
しかし、中には悪質な報酬を要求する業者がいます。必ず、報酬額や着手金の有無などを確認してください。そして、専門家に依頼をしたとしても丸投げはしないでください。申請者は、事業者自身です。
出典
(※1)補助金における合格率
(※2)経済産業省「事業再構築補助金」
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表