更新日: 2021.08.25 子育て

子どもの予防接種を遅らせるリスクとは? 定期接種と任意接種の違い

執筆者 : 前田菜緒

子どもの予防接種を遅らせるリスクとは? 定期接種と任意接種の違い
予防接種対象の子どもがいる家庭では、予防接種の時期になると予診票がお住まいの市区町村から送付されていることと思います。
 
新型コロナウイルスが拡大している中、子どもを予防接種に連れて行くことに、抵抗があるかもしれません。しかし、予防接種は不要不急ではありませんし、接種が遅れると別のリスクも発生します。この記事では、予防接種を遅らせるリスクや予防接種の費用について解説します。
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

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予防接種受診に対するコロナの影響は?

厚生労働省は2020年1月~6月の予防接種について、コロナの影響があるかどうか2019年と比較した調査を政令市に対して行いました。
 
調査によると0歳時については前年と大きな変化はないものの、9歳以降のワクチンについては、3~4月は前年と比較して接種数が減り、その代わり5~6月は前年より増加していました。1回目の緊急事態宣言が5月末に解除されたので、もしかするとコロナの影響があったのかもしれません。
 

予防接種を遅らせるリスク

予防接種は子どもの成長にとって、最も必要な時期に市区町村が案内します。その時期に受けることが重要で、もし受けなければ、別の病気のリスクが高まります。
 
例えば、日本脳炎。日本脳炎は蚊を介して感染し、光熱や頭痛、意識障害や麻痺などが起こり、発症者の45~70%に後遺症が残り、20~40%が死亡してしまうといわれています。しかし予防接種によって75~95%、罹患(りかん)リスクを減らせるそうです。
 
また、感染して入院となると、当然医療費もかかってしまいます。子どもの医療費については無料だったり軽減されていたりしますから、治療費自体の負担は小さいかもしれません。しかし、ベッド代や食事代等は自己負担がありますし、保護者が付き添うことになりますから、付き添い者の交通費や食事代などが発生します。
 
このようなリスクを避けるためには、適切な時期に予防接種を受けることが必要です。
 

定期接種と任意接種の違い

予防接種には予防接種法という法律に基づき市区町村が実施している定期接種、保護者や本人が希望して接種する任意接種があります。定期接種は費用がかからないことがほとんどですが、任意接種は原則自己負担です。
 
また、定期接種でも接種対象期間に受けないと任意接種となり、自己負担が発生することもありますから注意が必要です。この点は、市区町村によって対応が異なりますから、接種期間が過ぎている場合は、市区町村に確認しましょう。
 
その他、予防接種は自己負担が発生しても、医療費控除の対象にはなりません。予防接種の費用は、治療のためではなく予防のためなので「医療費」にはあたらないのです。
 
また定期接種と任意接種では補償の範囲も異なります。例えば、定期接種を受け健康被害が出た場合、障害年金(1級)は約500万円ですが、任意接種の場合の障害年金(1級)は約280万円となっています。
 

コロナ対策を行って予防接種へ

病院では、もちろんコロナ対策がとられていますが、それでも100%安心というわけにはいかないでしょう。そもそもコロナにかかわらず、健康な状態で病院に行くこと自体抵抗があるかもしれません。しかし、病院によっては予防接種専用時間を設けています。心配であれば、その時間に行くようにしましょう。
 
実は、筆者も先日、子どもの予防接種に行ってきました。一般患者用の受診時間だったので、熱がありそうな子もいましたが、その子は、別室で待つよう対応が取られていました。私自身も他の患者さんからは、距離を置くようにしましたし、自分の番が来るまで外で待つなど、自分なりの工夫をして予防接種を期間内に受けに行くようにしてくださいね。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ

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