更新日: 2021.08.30 子育て

児童手当特例給付が廃止。どんな人が対象者になる?

執筆者 : 柘植輝

児童手当特例給付が廃止。どんな人が対象者になる?
2022年から児童手当の特例給付が廃止されることが決定されました。児童手当の特例給付とは何か、どういった方に影響が及ぶことになるのか。制度の概要と、その廃止について見ていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

児童手当とはどんなもの?

児童手当とは、児童(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)を養育している方を対象に支給される手当です。児童手当として支給される金額は、児童の年齢によって分けられています。
 

    

児童手当の支給額
児童の年齢 児童1人当たりに支給される手当の月額
3歳未満 一律1万5000円
3歳以上~小学校修了前 1万円(18歳の誕生日後の最初の3月31日までの養育している児童のうち、3番目以降の子は1万5000円)
中学生 一律1万円

※内閣府 「児童手当制度のご案内」より筆者作成
 
児童手当は父母でなくても、児童を養育している方であれば受け取ることができます。例えば、里親など両親以外の方が上記に該当する児童を養育していれば、その里親などに対して児童手当が支払われます。
 

所得制限の限度額を超えた場合は特例給付の対象に

児童手当には所得制限が設けられています。しかし、所得が限度額を超えたからといって児童手当が一切もらえなくなるわけでもありません。
 
対象となる児童を含めた扶養親族に対して収入が一定以上の場合、児童の年齢に関係なく、手当の月額が児童1人当たり一律で5000円となります。これが児童手当の特例給付です。
 

出典:内閣府 「児童手当制度のご案内」
 
例えば、夫が児童1人と年収103万円以下の妻を扶養している世帯において、夫の年収が698万円を超えているような場合、児童手当を受け取れませんが、特例給付(5000円)は受け取れるということです。
 

児童手当の廃止対象は年収1200万円が基準となる予定

今回、年収が一定以上ある方への児童手当の特例給付について廃止されることが決定されました。
 
具体的な年収の基準についてはまだ明確になっていませんが、「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案」によれば、年収1200万円以上(子ども2人と年収103万円以内の配偶者がいる場合)という所得の上限が設けられる予定です。
 
なお、この年収は世帯で合算するわけではなく、主たる生計維持者の所得で判断されます。
 
扶養親族の人数に対する所得額などはまだ決定していませんが、いずれにせよ、世間一般に高所得者層といわれるような方を対象に児童手当の特例給付が廃止されることになりそうです。
 
政府によると、特例給付の廃止の影響を受ける児童の数は61万人(全体の4%)と推定、財政効果として370億円の公費削減を見込んでおり、削減した公費を保育所の整備といった子育て支援に充てるとしています。
 

高所得者に対する児童手当の特例給付が廃止となるのは2022年10月分から

年収1200万円以上を基準とする高所得者への児童手当の特例給付の廃止は、2022年10月支給分から適用される見込みとなっています。
 

子育て世帯への支援策は今後も見直しが続くことを想定

今回、1200万円以上の年収がある高所得者を対象として、児童手当の特例給付が廃止されることが決定されました。今後、この年収の基準が変化したり、他の子育て支援策にも類似の変更が加えられることも十分に想定されます。
 
政府には子育て世帯が納得できるような基準の策定とともに、充実した内容の支援策を打ち出していただきたいところです。
 
出典
内閣府 子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の概要
内閣府 児童手当制度のご案内
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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