変わる育休制度。パパは4回育休を取れるようになる?

配信日: 2021.11.17

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変わる育休制度。パパは4回育休を取れるようになる?
2022年4月より育休制度が変わります。主に男性の育休取得推進を目的としたものですが、具体的にはどのように変わるのか確認しましょう。
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

https://www.andasset.net/

産後パパ育休の新設(2022年10月1日から)

現在、男性は子どもが生まれてから8週間以内に育休を取り、8週間以内に育休を終了させると、その後もう1回育休を取得できるパパ休暇があります。今回の改正では、子どもが生まれて8週間以内に4週間(28日)まで休業できる「産後パパ育休」が新設され、パパ休暇は産後パパ育休に移行します。産後パパ育休は、1回で取得してもよいですし、2回に分割して取得することも可能です。
 
事業主への休業申出期限は、育休は原則1ヶ月前までですが、産後パパ育休の場合は、2週間前までです。育休の申出期間と産後パパ育休の申出期限は異なるので注意しましょう。
 
とはいえ、休業を取得するなら引き継ぎも必要です。一緒に仕事をしているメンバーへの負担が大きくなりすぎないよう、2週間とはいわず、早めに計画を立て引き継ぎを行いたいですね。
 
なお、産後パパ育休中に仕事をしないといけなくなった場合でも、労働者と事業主で合意をし、事前に調整していれば休業中でも仕事ができます。この場合、労働者が事業主に申し出を行い事業主が労働者の申し出の範囲内で日時を提示し、労働者が同意する形になります。
 
ただし就業可能日には上限があります。上限は、

●休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
●休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

です。
 
ここで注意したいのが育休手当のことです。産後パパ育休中でも育休手当給付の対象ですが、働きすぎると対象外になります。対象外にならない範囲は、例えば28日休業した場合、就業日数が10日(10日を超える場合は、就業している時間数が80時間)以下です。休業日数が28日より短い場合はその日数に比例して少なくなりますから、休業中に仕事をする場合は、育休手当のことも考慮しておきましょう。
 

男女とも育休の分割取得が可能に(2022年10月1日から)

現在は、1人の子につき1回しか育休を取得できませんが、改正後は2回に分けて取得できるようになります。男性は8週以内なら2回休業を取得できる産後パパ育休がありますから産後パパ育休と育休制度、合計で4回取得できるようになるということです。
 
育休中は原則就業できませんから、この分割取得制度を上手に使って、夫婦とも協力しあって育児ができるとよいですね。
 

職場の環境整備、個別の周知と意向確認(2022年4月1日から)

事業主は、産後パパ育休と育休を取得しやすい職場環境を作らないといけません。具体的には、育休・産後パパ育休に関する研修の実施や相談窓口の設置、社内の育休・産後パパ育休の事例の収集や提供、休業取得促進方針の周知です。また妊娠や出産の申し出をした労働者に、休業制度があることを個別に周知し、取得の意向確認を行う必要があります。
 
育休取得しやすい環境づくりをするなら、事業主は育休を取得しても抜けたポジションの仕事をカバーできるようなサポート体制もつくる必要があるでしょう。仕事で育休を取得できる状況ではない職場なら、現状と同じになってしまいますから、他のメンバーによるサポート体制があると、取得する方も気持ちが楽になるかもしれません。
 

育児休業取得状況公表の義務化(2023年4月1日から)

従業員数1000人超の企業は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」など、休業の取得の状況を年に1回公表することが義務付けられます。
 

男女ともに育児をする時代へ

筆者は、ファイナンシャルプランナーとして未就学児のいる世帯からライフプランの相談を受けることが多いですが、ご夫婦を見ていると、育児に積極的なパパがとても多くいらっしゃいます。ただ、それでも育休を取得したパパは非常に少ないです。
 
また、自分の会社には育休制度がないと勘違いしているご相談者もいます。育休制度は国の制度であって、会社の制度ではありません。今回の改正で、育休の周知や意向確認が個別に行われることが義務化されます。育休制度がないという勘違いもなくなり、夫婦ともに育休取得するのが当たり前の世の中になることを期待したいです。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ

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