更新日: 2019.05.17 その他暮らし
多くの自治体で「耐震化」促進の取り込み 改修に伴う税制優遇制度いくつ知ってる?
現在、多くの自治体で建物の耐震化促進の取り組みが行われています。
また、国においては改修に伴う税制優遇制度があります。いくつか制度がありますので、耐震改修工事をしたら忘れずに行いたい手続きについてお伝えしたいと思います。
Text:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
耐震改修補助制度
昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された建物に対する耐震診断費・改修設計費・改修工事費を対象に補助金が支給されます。
補助金の金額は、それらに要した費用の一部で、限度額は自治体によって大きく異なります。改修工事をするとなれば、100万円単位の出費となりますので、助成制度はぜひ活用したいところです。
ただし、助成金対象者に所得制限を設けている自治体がありますので、ご自身が助成の対象となるか、まずはお住まいの市役所などに確認してみてください。
所得税の税制優遇
昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された自宅の耐震改修をすると、「住宅耐震改修特別控除」という所得控除を受けられる可能性があります。
控除される金額は、工事費(補助金が交付された場合は補助金の額を差し引いた後の金額)の10% (最高25万円)です。
ただし、省エネ改修工事も合わせて行った場合は、「住宅特定改修特別税額控除」という税額控除制度も適用される可能性があります。いずれの制度にも適用要件を満たしている場合は、どちらか1つの選択適用となります。
これらの適用を受けるには、確定申告が必要です。税金が戻ってくるかもしれませんから、忘れずに確定申告をしましょう。
固定資産税の減額措置
工事完了日の翌年1年間、固定資産税を減額できる制度があります。減額できる金額は、2分の1から3分の2。
ただし、平成30年3月31日までに改修工事が完了し、完了した日から3ヶ月以内に市町村に申告したものに限ります。そのほかにも昭和57年1月1日以前から存在する住宅であること、工事代金が50万円超であることなど減額適用には条件があります。
申告しないと減額されないので、条件を満たすのであれば、忘れずに申告したいですね。
地震保険の保険料割引
そして、もう一つ忘れがちなのが地震保険への対応です。昭和56年5月31日以前に建築された建物は建築年割引が適用されないため、保険料の割引はありません。
しかし、地震保険の保険開始日が平成19年10月1日以降で地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、昭和56年6月に改正された建築基準法の耐震基準を満たす場合、「耐震診断割引」が適用されます。
この割引は、今後地震保険に加入する場合に適用されるのはもちろんですが、現在契約中の保険に対しても適用されます。
たとえ保険料を1年分あるいは5年分一括で支払っていたとしても、割引適用期間が保険料支払済の期間に対応しているのであれば、保険料は返戻されます。ご契約の保険会社に確認をしてみてください。
耐震工事は工事をするとこと自体、大変なことですし補助金がおりれば一安心してしまいがちです。
しかし税制優遇など利用できる制度がありますので忘れずに活用したいですね。自治体によっては、耐震改修を案内しているウェブサイトに税制優遇の案内を掲載しているところがあります。
しかし、地震保険についてはどこにも案内はされていません。自分自身で確認する必要がありますので、忘れずに保険会社に確認してみてください。
Text:前田 菜緒(まえだ なお)
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP(R)認定者