更新日: 2022.04.27 子育て
働くひとり親、保育料ってどのように決まるの?
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
ひとり親の保育料軽減制度
認可保育園の保育料は、住民税によって決定します。4月分から8月分までは、前年度の住民税、9月分から翌年3月分までは、現年度の住民税によって決まります。住民税は前年の所得に対して課税されますから、収入のタイミングでいうと、4月分から8月分は、前々年の所得、9月分から翌年3月分は、前年の所得によって決まります。
とはいえ、幼児教育無償化によって3~5歳の保育料は無料です。料金がかかるのは、無償化対象外である0歳~2歳の保育料、給食費、延長保育などの料金です。
しかし、ひとり親の場合は、料金の軽減制度があり、さらに、年収360万円未満世帯に対しても負担軽減の仕組みがあります。
これは、ひとり親をターゲットにした仕組みではありませんが、厚生労働省の調査によると、父子世帯の父の平均収入が420万円、中央値は350万円、母子世帯の母の平均収入が243万円、中央値が208万円ですから、360万円未満世帯への軽減措置も、ひとり親世帯に適用されるケースが多いといえそうです。
また、ひとり親世帯に対しては、国の制度に上乗せして負担軽減を実施している市区町村も数多くあります。
ではどの程度の負担になるのか、ひとり親の保育料の仕組みを確認しましょう。
認可保育園、認定こども園の利用料の負担軽減策
保育園の利用料がかかるのは、0~2歳クラスのみですが、0~2歳クラスの利用料も住民税非課税世帯なら無料になります。また、きょうだいがいる場合は、保育料が割引になり、住民税非課税世帯でなくても、第2子は半額、第3子は無料となります。
ここで、きょうだいの数え方に注意が必要です。なぜなら、小学1年生以上の子はきょうだいとしてカウントしないからです。
<図表1>
(筆者作成)
ただし、年収360万円未満のひとり親世帯の場合は、小学1年生以上の子もきょうだいとしてカウントし、さらに、第1子から半額、第2子以降は無料です。
<図表2>
(筆者作成)
しかし、市区町村によっては独自にひとり親に対する負担軽減をおこなっており、例えば東京都文京区では、年収360万円未満世帯の場合は、第1子は3000円、第2子は無料になります。
給食費の負担軽減対策
給食費は、主食費(お米など)と副食費(おかず、おやつ)に分かれており、これらは保護者負担となっています。しかし、副食費については年収360万円未満世帯については免除となり、第3子以降については、収入にかかわらず免除になります。
副食費の金額の目安は4500円です。ただ、文京区では区が副食費を負担していますし、八王子市では、市が主食費を負担しています。市区町村によって対応が異なります。
延長保育への対応
延長保育は無償化対象外です。利用の際は自己負担が発生しますが、年収によっては延長保育料無料としている市区町村はあります。ご自身が住む自治体に確認してみましょう。
まとめ
保育料は3~5歳は無料ですし、0~2歳の場合でも所得に応じた料金になっているため、所得に不釣り合いな高額な金額になることはありません。しかも、ひとり親の場合は負担軽減の制度がありますから保育料で悩む必要はなさそうです。
ここでお伝えした情報は、国の制度です。市区町村によって、独自に対策をおこなっていることもありますから、まずは、お住まいの市区町村の保育料の情報を調べてみると良いでしょう。市区町村の保育料記載のウェブページでひとり親の負担軽減情報を見ることができます。
出典
厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査/16 ひとり親世帯の平成27年の年間収入
文京区 ホームページ
八王子市 ホームページ
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP、2019年FP協会広報スタッフ