更新日: 2022.05.14 その他暮らし
小麦、サーモン、ウニ、ソバ、銀歯までも! ウクライナ侵攻で何が値上げした?
この項目ではウクライナ侵攻の影響で何が値上げされているのか、またその影響は今後どのぐらい続いていくのかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ウクライナ侵攻によって値上げされたものとは?
ロシアのウクライナ侵攻によって、値上げされたものを見ていきましょう。
・小麦
世界の小麦輸出量の1位はロシア、5位はウクライナです。経済制裁によりロシアは世界に輸出できなくなり、ウクライナは戦禍の影響で輸出できなくなっています。一方、小麦輸出量が2位のアメリカでは、小麦の栽培に使うロシア産肥料の費用や農業機械を動かすための燃料費用が高騰しています。このため、小麦を生産するほどコスト高の影響を受け、生産者は生産したくてもできないというジレンマに陥っています。
・サーモン
早い時期からロシアに対する経済制裁の影響を受けたのは、ノルウェー産のサーモンです。ノルウェー産サーモンはこれまで空輸で日本まで届けられていましたが、ロシアが経済制裁への対抗措置として、EU各国の航空機がロシアの領空を飛行することを禁じました。ノルウェー産サーモンを日本に運ぶには中東を経由しなければならず、輸送コストがかかっているのです。
・ウニ
日本に輸入される水産物は、ロシアのシェアが高く、2021年には輸入品の8.6%を占めていました。特にウニは47%をロシアからの輸入に頼っており、日本国内でとれるウニは3割前後です。ロシアに対する経済制裁の影響でロシア産のウニが輸入されなくなる上、赤潮の影響で北海道産のウニの水揚げ量も減っていて、ウニの値上げは深刻です。
・蕎麦
蕎麦の原料として使われる玄蕎麦。日本では玄蕎麦の70%近くを海外からの輸入に頼っていて、ロシアから日本への輸入量は第3位です。世界での蕎麦の生産量を見てみると1位は中国、2位はロシアで、消費量は1位がロシア、2位が中国です。
2020年頃の米中貿易摩擦の影響で、中国では蕎麦の代わりにトウモロコシや大豆を生産したため、蕎麦の生産量が落ちていました。そこに世界情勢を受けて中国で生産された蕎麦がロシアに供給されるようになると、日本に供給される蕎麦の量が減ってしまうのです。
・銀歯
銀歯に使われるパラジウム合金の、主要な生産地はロシアです。このため、政府は銀歯治療の際に歯科医院が受け取る公定価格を1gあたり3413円に引き上げました。これにより、患者の窓口での負担は歯1本あたり180円前後増える見込みです(3割負担の場合)。なお、パラジウム合金の公定価格は4月、5月と連続で引き上げとなりました。
値上げの影響はいつまで続く?
帝国データバンクの調査によると、2021年10月からの半年間で値上げをした企業は全体の32.7%、2022年の4月から来年3月まで値上げをした、あるいは値上げを予定している企業は43.2%となっています。ロシアによる軍事侵攻の終わりが見えない中、欧米が早期に経済制裁をゆるめる可能性は薄いです。IMFは2022年の先進国の物価上昇率は5.7%、インフレは2023年も続くと見通しています。
一方、日本ではこの30年近く平均賃金が大きく増えておらず、インフレがこのまま続けば、やがて企業はものが売れなくなる悩みを抱えることになります。企業がものの値段を下げる代わりに人件費を抑え、それにより失業者数が増える前に、政府には何らかの対策を講じることが求められます。
政府のインフレ対策も課題
ロシアの軍事侵攻が終わりを見せない中、今後も物価が上昇していくことが予想されています。一方、このままインフレが続けば、やがてものが売れなくなるため、いずれ企業は値下げをしなければなりません。しかし企業努力ばかりに期待しすぎると、深刻な不況に陥るおそれもあるため、政府には物価の高騰に対して何らかの対策を講じることが求められています。
出典
NHK小麦が高い! それでも生産を増やせない事情とは
毎日新聞実は輸入できているロシア産のカニやウニ食卓から消える日は来るか
読売新聞オンラインカニ・ウニ・紅ザケ、ロシア産供給懸念…輸入滞れば価格高騰も
Yahoo!ニュースウクライナ危機が立ち食いそばの値段に影響?(坂崎仁紀)
朝日新聞デジタル銀歯の治療費、5月から緊急引き上げウクライナ情勢で材料高騰
帝国データバンク企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート
週刊 経団連タイムスロシアのウクライナ侵攻の世界経済・欧州経済への影響 (2022年4月28日No.3543)
大和総研ウクライナを巡るロシアと欧米等の我慢比べ~金の切れ目が縁の切れ目?
Yahoo!ニュース値上げラッシュはいつまで続くのか?子供と学ぶ物価の変動(Forbes JAPAN)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部