ウクライナ侵攻、デフォルトって何? 国がデフォルトするとどうなるの?
配信日: 2022.05.15
その中で、ロシア国債のデフォルト懸念が話題になっています。この記事では、デフォルトの意味や仕組み、デフォルトが発生した場合の影響などについてわかりやすく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
デフォルトとは?
デフォルト(default)とは債務不履行のことです。一般的には、お金を借りるときに、借り手と貸し手の間で元金に対しての利子や返済期限などを約束し、貸し手はそれが守られることを信用して貸します。
このとき、借り手に生じる義務を「債務」、貸し手に生じる権利を「債権」といいます。債務不履行とは、借り手がその約束としての義務を守れなくなった状態です。
債務不履行には深刻さによる区分があり、履行が遅れてしまう「履行遅延」、履行が不可能になってしまった「履行不能」、履行されたが不十分である「不完全履行」があります。
国際経済の話題でのデフォルトは、主に国債の債務不履行のことを指します。国債とは国家が発行した債券のことで、簡単に言えば借金証書です。国家の財政支出は税収で賄うのが基本ですが、支出に対して不足する場合に国債が発行されます。
国家が返済を約束した借用証書なので、通常は信用性が高いと考えられており、投資の対象としても最も安全で確実なリターンが得られる可能性の高いものとされています。この国債の償還ができなくなる状態が国債のデフォルトです。
国債は多くの人たちが信用して投資対象にしており、金融商品に組み込まれることも多いため、デフォルトが生じるとさまざまな分野で大きな影響が懸念されます。
デフォルトは誰が決めるの?
デフォルトに陥ったかどうかは一般的に格付け会社(rating firm)が認定します。格付け会社とは、金融商品や企業・政府について、専門的な分析を通じて信用状態を評価する機関です。
数字や記号などの序列を用いた等級によって信用度を表現します。格付けの目的は投資家に対しての判断材料の提供であり、このとき表示される等級を「格付け」と呼ぶのです。
有名な格付け会社としては、欧米系ではS&Pグローバル・レーティング社、ムーディーズ・インベスターズ・サービス社、フィッチ・レーティングス社などがあります。
ロシア国債がデフォルトするとどうなる?
ロシアによるウクライナ侵攻では、欧米各国がその行為を強く非難し、抗議の意思を明確にするために経済制裁を行っています。この経済制裁の項目の中に、外貨資産の凍結があります。
ロシアは西欧諸国などに石油や天然ガスを大量に輸出しており潤沢な外貨準備を持っているため、通常であればデフォルトを起こすことは考えられません。
ところが、経済制裁により外貨準備のほぼ半分にあたる約3000億ドルが凍結されています。日本円で35兆円に相当する金額が支払いに使えないため、デフォルト懸念が高まり、ロシア国債の格付けが下げられる事態となっているのです。
ロシア国債がデフォルト状態になると、国際金融市場での価値がほぼなくなります。つまり、国債を保有している投資家にとっては損失が発生するのです。
さらに、信用喪失の連鎖が起こり、ロシアの通貨であるルーブルが暴落する可能性も高まります。ルーブル安が進むと、ロシア国内の物価が上昇する恐れが高まっていくのです。
世界経済の仕組みを学びなす機会に
国債がデフォルトを起こすと、世界経済の領域でさまざまな影響がでてきます。特に、投資に金融商品を持っている人にとっては、思わぬところで損失が発生する可能性があります。
個人では対策の取りようがない問題ですが、ウクライナ侵攻の最新ニュースに注意しつつ、もう一度、世界経済の仕組みについて学び直してみましょう。
出典
NHK NEWS WEB さくさく経済Q&A ロシア国債 デフォルト?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部