【環境省の新しい取り組み】「エアコンのサブスク」事業がスタート!
配信日: 2022.06.03
この取り組みの背景には、昨今の熱中症による救急搬送人員の増加や、住居内での熱中症発生率の高さがあります。熱中症で搬送されるリスクを防ぐためにも、エアコンのサブスク事業について詳しく知る必要があるのではないでしょうか。
まずは、本年度5月2日〜5月8日までの全国の熱中症で救急搬送された人の割合を見ていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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熱中症で救急搬送される人は2.8倍にも増えている!?
総務省消防庁が発表している、本年度5月2日〜5月8日までの1週間で、全国の熱中症による救急搬送人員速報値は520人でした。昨年度同時期の確定値は186人であったことから、昨年と比べると約2.8倍の救急搬送人員が出たということになります。(※2)
出典:総務省消防庁 令和4年 都道府県別熱中症による救急搬送人員 前年同時期との比較
また、救急搬送された人員のうち、発生場所が「住居」内であった人は158人で、意外にも競技場や野外コンサート会場などの「屋外」 よりも「住居」内のほうが熱中症になりやすいようです。(※2)
出典:総務省消防庁 令和4年 都道府県別熱中症による救急搬送人員 発生場所別(構成比)
総搬送人員 520人
また、環境省によると、熱中症による全国の死亡者については、約8割が65歳以上の高齢者であり、令和3年の東京23区のデータでは、8割以上が高齢者、約9割が屋内、そのうち、約9割がエアコン未使用でした。(※1)
出典:環境省 サブスクリプションを活用したエアコン普及促進モデル事業の実施事業者の公募について 「事業の概要」から一部抜粋
環境省はこの状況を打破しようと、「エアコンのサブスク」モデル事業を開始し、参加自治体と企業を募集したところ、いくつかの自治体が採択されました。
その自治体のひとつである埼玉県戸田市では、子育て世帯と高齢者世帯の2つの世帯を対象に、モデル事業を開始しました。「エアコンのサブスク」について疑問を抱いている方が多いと思うので、戸田市を例に「エアコンのサブスク」の概要を見ていきましょう。
最新型エアコンを 設置工事費込みで初期費用0円、月々2,000円から利用可能!
戸田市によると、今回採択された事業では「株式会社 富士通ゼネラル」と連携し、省エネ性能に優れたエアコンを使用します。そのため、対象機器は富士通ゼネラル「Nocria」(最上位機種)となっており、最新型エアコンをサブスク利用するとのことです。
続いて、気になるサブスクのお値段についてです。エアコンといえば、最初にお金がかかるのが悩みの種でしたが、「エアコンのサブスク」は設置工事費込みで初期費用0円だというから驚きです。月額利用料も2,000円〜3,700円の間で、比較的お財布に優しい価格設定となっているようです。
出典:価値創造プラットフォーム エアコンサブスクリプション:戸田市 月額利用料について
(注)期間終了後、エアコンの更新・買い取り・撤去を選択できるとされています。
今回の公募対象は 小学生以下の子供がいる子育て世帯と、65歳以上の方のみで構成された高齢者世帯の、2種類の世帯としています。ほかの申込条件として、「設置日より3年間継続利用できること」や、「インターネット回線(Wi-Fi)が使用できる環境がある、もしくは事業者が貸与する専用端末の取り付けに同意できること」などが挙げられています。(※3)
エアコンは「買う」時代から「借りる」時代に
今回は募集世帯が限られていましたが、このモデル事業が成功すれば今後全国に「エアコンのサブスク」が波及していきそうですね。そうなれば、エアコンを購入するよりも費用を安く抑えられ、これまでエアコンを買い渋っていたような方、とくに高齢者などでのエアコンの使用を促進できるのかもしれません。そうすれば、熱中症で救急搬送されるリスクが減少するかもしれません。
熱中症対策に加え、省エネ性能の高い機種によるエネルギー使用の抑制、CO2排出削減などにも取り組めるとなれば、サブスクへの需要は高まりそうです。
サブスクが流行しているのは、「買う」より「必要なだけ使う」という意識の人が多くなってきたことにあると思いますが、エアコンにおいても「買う」時代から、サブスクで「必要なだけ使う」ことが一般的となる時代が到来するのでしょうか。今一度家のエアコンのあり方について見直し、サブスクという選択肢を頭の片隅に置いておくといいかもしれません。
出典
※1:環境省 サブスクリプションを活用したエアコン普及促進モデル事業の実施事業者の公募について
※2:総務省消防庁 全国の熱中症による救急搬送状況 令和4年 5月2日~5月8日(速報値)
※3:戸田市情報ポータルサイト 「エアコンサブスク」事業について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部