更新日: 2022.06.15 その他暮らし

【差額ベッド代問題】病院都合で「個室」に移されました…「差額ベッド代」は自費でしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【差額ベッド代問題】病院都合で「個室」に移されました…「差額ベッド代」は自費でしょうか?
急に入院を余儀なくされたケースでは、かかるお金が気になるものです。
 
特に、入院することになったけれども病床が足りず、病院の都合で個室や2人部屋に入院することになったケースでは、差額ベッド代を支払うのが理不尽だと感じる人もいるでしょう。
 
ここでは病院都合で差額ベッド代が必要な部屋に入院せざるを得なかった場合に、差額ベッド代を支払わなければならないのかを説明します。
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差額ベッド代は健康保険の適用外なので全額自費

「差額ベッド代」とは正しくは「特別療養環境室料」と言い、1部屋の病床数が4人以下の部屋に入院する場合にかかる費用のことで、差額ベッド代が必要になる部屋を「特別療養環境室」と呼びます。特別療養環境室料は健康保険の適用外なので全額自己負担になり、高額療養費制度の対象とはなりません。
 
2020年7月1日時点で特別療養環境室の病床数は全国で26万7034床となり、平均的な差額ベッド代は6521円となっています。内訳は、個室が18万2246床で平均的な差額ベッド代が8221円、2人部屋が4万974床で3122円、3人部屋が4404床で2851円、4人部屋が3万9410円で2641円です。
 
宿泊施設と違って差額ベッド代は0時を起点として計算します。23時に入院し、翌朝9時に退院したケースでも2日分の差額ベッド代を請求されるのです。
 

差額ベッド代を請求するには「同意書」が必要

差額ベッド代がかかるのは、「患者本人が希望して特別療養環境室に入院するケース」で、病院指定の同意書を用いて患者の意思確認を行うことになっています。ここで問題となるのが、「病院都合で特別療養環境室に入院せざるを得なかったケース」です。
 
例えば「病気やケガで救急搬送されたけれど、一般病棟が空いていなかったために特別療養環境室に入院せざるを得なかったケース」がここに当てはまります。また、患者の病状によっては、病院から家族に対して特別療養環境室に入院してほしいと言われることもあるでしょう。
 
いずれの場合も病院から患者または患者の家族に対し、病院の都合で特別療養環境室に入院することになると説明があり、同意書にサインするよう求められるでしょう。ここにサインをすれば積極的に希望したか消極的に希望したかにかかわらず「希望した」とみなされ、差額ベッド代がかかります。
 
しかし、厚生労働省は、「同意書による意思確認がされていないケースや同意書の内容が不十分なケースでは、差額ベッド代を取ることはできない」としています。つまり、患者が同意書にサインをしなければ、病院は患者に差額ベッド代を請求することはできません。
 

「トラブルを避けるため」に渋々サインする人も

同意書のやりとりに関しては、医療機関と患者に任されているため、トラブルを嫌って同意書に渋々サインをしている人がいるのも事実です。経済的な理由で差額ベッド代を支払えない場合は、病院や自治体のソーシャルワーカーなどと相談してみるのも一つの方法です。
 
また、万が一、同意書へのサインをめぐって医療機関とトラブルになった場合には、お住まいの自治体を管轄する地方厚生局の事務所に相談ができます。
 

全額自費だが同意書にサインをしなければ請求されない

差額ベッド代は「健康保険の適用外」なので全額自己負担ですが、病院都合で特別療養環境室に入院せざるを得なかった場合、患者は病院指定の同意書にサインしないことで、差額ベッド代を断ることができます。ただし、病院とのトラブルを避ける目的で同意書にサインする人もいます。
 
どうしても払いたくない場合はソーシャルワーカーやお住まいの地域を管轄する地方厚生局の事務所に相談をしてみましょう。
 

出典

厚生労働省中央社会保険医療協議会 総会(第488回)議事次第主な選定療養に係る報告状況
厚生労働省 療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて
厚生労働省 「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について
埼玉県 差額ベッド(特別療養環境室)について
厚生労働省 各厚生局・都道府県事務所
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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