更新日: 2022.06.15 その他暮らし

「入院が必要ですが医療費が払えません…」~知っておきたい制度の話~

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「入院が必要ですが医療費が払えません…」~知っておきたい制度の話~
けがや病気は前触れなく突然やってきます。「入院が必要になったけれど、お金が準備できずどうしても医療費が払えない」という事態に陥っても不思議ではありません。特に入院日数が長いと、医療費が高額になり、家計が立ち行かなくなってしまう恐れもあるでしょう。
 
この記事では、医療費の支払いに困ったときに利用できる、医療費補助制度を紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高額療養費制度とそれに関係する制度


 
入院費用には保険が適用されるものとされないものがあります。保険が適用されるのは、医療費(診察、投薬、検査など)と入院基本料です。差額ベッド代(個室利用時など)、食費、先進医療費、日用品などは保険が適用されず自己負担となります。ここでは保険適用の医療費に対する助成「高額療養費制度」を紹介します。
 

 

・高額療養費制度

医療機関や薬局の窓口で支払った医療費の自己負担額が、1ヶ月で上限額を超えた場合、超えた分の金額が戻ってくる制度。上限額は年収(課税所得金額)や年齢(69歳以下か70歳以上か)によって異なります。例えば、69歳以下で年収約370万~約770万円の世帯の場合、1ヶ月の上限額(世帯ごと)は「8万100円+(医療費-26万7000円)×1%」で算出します(年収は目安)。
 
複数の医療機関や、同じ世帯で同じ医療保険に加入している人が窓口で支払った自己負担額を合算することが可能です(69歳以下は一部負担額のみ)。また、過去12ヶ月以内に3回以上上限額に達した場合は4回目から上限額が下がります。制度の利用申請は、加入している公的医療保険に行います。
 

・高額療養費(資金)貸付制度

高額療養費制度は申し込みから返金まで最短で3ヶ月かかります。その間にお金が必要という人のために、高額療養費の8~9割を無利子で貸与するのが「高額療養費(資金)貸付制度」です。貸付金の水準や制度の利用ができるかどうかは各医療保険によって異なります。また、医療機関の許可が必要ですので、事前に許可を得ておかねばなりません。貸し付けを利用して医療機関などに支払いが完了しますと、高額療養費が支給されて返済に充てられますので、被保険者に新たな負担は生じません。
 

・高額療養費受領委任払い

高額療養費制度を使い後日返金されるであろう金額を、公的医療保険から医療機関に直接支払う制度です。これにより、入院した人が医療機関に対して支払う金額は、自己負担分だけになります。国民健康保険加入者が対象。申請を希望する場合は、事前に医療機関と国民健康保険の窓口に問い合わせておきましょう。
 

その他の公的制度


 
入院で仕事を休んで収入が減ったケースや、金銭的な余裕がなく生活が苦しいケースで利用できる制度について紹介します。
 

・傷病手当金制度

被保険者が病気やけがで働くことができずに会社を休んだケースで、連続して3日休んだ後の4日目以降に休んだ日に対して支給されます。休んだ期間について給与の支払いがある場合は支給されませんが、傷病手当金の日額より少ない場合は差額が支給されます。
 

・生活保護制度

生活保護受給者は国民健康保険の被保険者から除外されており、ほとんどの場合で全額を医療扶助で負担しています。原則として現物給付です。生活保護法の指定を受けた医療機関などに委託して行われます。
 

高額療養費制度の利用者は半数以上

生活設計や生命保険に関する情報を提供している「生命保険文化センター」が、全国に住む18~69歳の男女4014人を対象に行った調査によると、13.7%の人が過去5年間に入院した経験があると答えています。入院は決してひとごとではなく、誰にでも起こりえることです。
 
入院日数で最も多かったのは5~7日の入院で27.3%。入院経験がある人のうち、半数を超える57.2%が高額療養費制度を利用しており、1日当たりの自己負担額の平均は2万3300円です(高額療養費制度を使った人と使っていない人の両方が対象)。
 

利用できる公的制度を確認して自己負担額を減らそう

病気やけがによる入院は誰もが経験する可能性があるもの。申請を行うことで限度額以上の支払いをした場合に返金される「高額療養費制度」は入院によって医療費の自己負担が増えたときに利用したい制度です。入院経験のある人の多くが高額療養費制度を利用しており、制度を補完する「高額療養費(資金)貸付制度」「高額療養費受領委任払い」も用意されています。
 

出典

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
協会けんぽ 高額療養貸付制度
茅野市 国保高額療養費貸付制度について
生命保険文化センター 令和元年度生活保障に関する調査(速報版)
みんなの介護 高額療養費制度ってどんな制度ですか?
鹿児島県地域医療・福祉情報データベースせごどん 2-2-2高額療養費受領委任払制度
協会けんぽ 傷病手当金
厚生労働省 生活保護の医療扶助について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集