更新日: 2022.06.17 子育て
40代夫婦、子どもの教育資金を優先していたら貯金がゼロ! 何から始めたらよい?
貯蓄がないと、いざというとき生活が立ち行かなくなる可能性もあります。この記事では、貯金ゼロの世帯が貯蓄する習慣をつける方法を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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40代・2人以上世帯の平均貯蓄額とかかる教育費や老後資金
厚生労働省が発表した「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、40~49歳の1世帯あたりの貯蓄平均額は、約650万円です。その一方で、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」によると、世帯主が40代の2人以上の世帯で貯金が全くない割合は、13.5%です。
40代は支出が増える時期です。毎月決まった収入があれば貯金がゼロでも暮らしていけますが、不測の事態が起きれば生活が立ち行かなくなります。
そこで以下では、40代がこれからかかると予想される教育費と老後資金について説明していきます。
教育資金が想像以上にかかることもある
文部科学省が平成30年に発表した「子供の学習費調査の結果について」によると、私立中学に子どもが通った場合、1年間にかかる学習費用は140万6433円でした。
公立高校に通った場合は、1年間に45万7380円、私立高校の場合は96万9911円です。中学校や高校は3年ですから、卒業までこの金額の3倍がかかります。つまり、私立中学・高校に通った場合は子ども1人あたり6年間で約700万円かかるのです。
なお、この金額は「学校教育費・学校・給食費・学校外活動費」のみであり、制服代や文房具代などは含まれていません。
中学や高校に入学する際は、制服や体操着を購入する必要がありますが、公正取引委員会が平成29年に発表した「公立中学校における制服の取引実態に関する調査報告書(概要)」によると、公立中学の制服代の平均は、男子が3万3000円、女子3万2000円です。これに靴代や体操着代などが加われば、5万円以上の出費になります。
また、現在はタブレットやノートパソコンで授業をする中学・高校も増え、学校によってはその購入費も必要です。このほか、遠方の高校に入学すれば交通費もかかります。
このようなことから、学資保険などで子どもの教育費だけは積み立てておいたとしても、想定以上にお金がかかることは、珍しくありません。
さらに私立大学は学部によって大きく学費が異なります。子どもの希望する学部に通わせるためにも、貯蓄は必要です。
老後の資金も貯め始める必要がある
40代になると老後のことも考え始めなければなりません。
生命保険文化センターの「令和元年度生活保障に関する調査」によると、18〜69歳の男女4014人の回答で、夫婦2人世帯の「老後の最低日常生活費」の平均は月額22万1000円でした。
一方、厚生労働省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概要」(令和2年度版)によると、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は14万6145円、国民年金の受給者平均年金月額は、5万6358円です。
このことから、夫婦2人で老後に余裕ある生活を送ろうとすれば、年金だけでは足りないことが分かります。これには、国民年金や厚生年金の公的年金だけでなく、いざというための対策が必要です。
貯金ゼロから効率的に貯蓄をする方法
貯金がゼロの場合、収入と支出が過不足ゼロのケースと貯蓄をする習慣がないケースがあります。
貯蓄は、支出に対して収入が支出を減らすか収入を増やせばできるようになります。貯蓄をする習慣がない場合は、その習慣をつけることが大切です。しかし、どこから始めてよいか分からない人もいるでしょう。次に、貯金ゼロから効率的に貯蓄をしていく方法を解説します。
家計を見直す
まずは、家計を見直しましょう。40代になると、以下の費用が30代と比べて増える可能性があります。
●教育費:子どもの進学、通塾など
●住居費:家賃または住宅ローン・固定資産税・都市計画税
●通信費:子どものスマホ料金など
●交通費:遠方の中学や高校に進学すれば電車・バス代など(中学校入学時から大人料金になる)
●遊興費:子どものお小遣いの値上げ、遊興施設の入場料金(中学校入学時から大人料金になる)
●食費:子どもの食べる量が増える分
毎月生活費が収入ギリギリで貯蓄する余裕がない場合は、何にいくら使ったかまずは正確に計算してみてください。家計簿アプリなどを利用すると便利です。そのうえで、削れる出費を削っていきましょう。
例えば、通信費は大手キャリアから格安回線に変えるだけで年数千円の節約になることもあります。また「何気なくコンビニなどで使うお金」を可能なかぎり減らすのも有効です。月数千円でも貯蓄する習慣をつけることが大切です。
つみたてNISAやiDeCoなど投資信託をする
貯蓄も大切だが、できれば投資をしたいという方にはローリスク・ローリターンの長期投資がおすすめです。リスクが少なければ、貯蓄の変わりにもなるでしょう。
つみたてNISAは、一定期間投資に対する利益が非課税になる制度です。長期の積み立て・分散投資に適した一定の対象商品へ1年間に最大40万円まで投資ができ、最長20年間非課税で保有可能です。
一方、iDeCoは確定拠出年金法に基づく私的年金制度の一種です。加入対象者は国民年金をかけている自営業者や厚生年金の被保険者など幅広く、自分で投資先を選んで毎月投資をして増やしたお金を年金として受給できます。掛け金が所得控除の対象になるので、節税対策にもなるでしょう。
iDeCoとつみたてNISAは併用が可能です。併用することで老後資金をより増やすことが可能ですが、それだけ資金が必要となりますので、子育てが終わって資金に余裕が出てきたら検討してみましょう。
ファイナンシャルプランナーに相談する
自分では家計の見直しが難しい、どこをどうすれば支出を減らせるか分からない場合は、ファイナンシャルプランナーに相談する方法があります。
ファイナンシャルプランナーは結婚・出産・子どもの進学など人生のイベントに備え、「40代で家を建てたい」「子どもによい教育を受けさせたい」といった希望に合わせてどのように資金を貯めていったらよいのか、相談に乗ってくれます。
貯蓄をしたいが支出で手一杯になってしまい、どうやって家計を管理していったらよいか分からない場合にもおすすめです。
家計の見直しと貯蓄の二本柱で安心を得よう
40代は子どもの中学や高校への進学、介護保険の支払い開始など家計への負担が増える時期です。貯蓄は少しでも多いに越したことはありません。これまで子どもの教育資金を優先させて貯金ゼロの家庭は、まず今後の教育費の見積もりと家計を見直し、少額でも毎月一定額の貯蓄をする習慣をつけましょう。
また、少しでも効率よく資金を増やしたい場合は、iDeCo やつみたてNISAのような少額から始められる投資がおすすめです。
教育費の見積もりと家計の見直しをしたら、これまで教育資金を優先での貯金ゼロから、老後資金の計画を立てて、できるだけ早いうちに実行しましょう。
出典
厚生労働省 2019年国民生活基礎調査の概況
知るぽると 各種分類別データ(令和2年)
文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
公正取引委員会 公立中学校における制服の取引実態に関する調査報告書(概要) 平成29年11月29日
厚生労働省年金局 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
生命保険文化センター 令和元年度生活保障に関する調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー