マネーロンダリングを防止するため!? 「実質的支配者リスト制度」とは?

配信日: 2022.06.22

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マネーロンダリングを防止するため!? 「実質的支配者リスト制度」とは?
2022年1月31日から、「実質的支配者リスト制度」が始まりました。
 
株式会社などの代表者や経理担当の方は、今後、金融機関の手続きや不動産の取引などで、各種書面等の提出を求められることがあるかもしれません。
 
本稿で詳しくみていくことにしましょう。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

そもそも「実質的支配者」とは?

ここでは、実質的支配者リスト制度の対象となる、実質的支配者に絞ってみていきましょう。
 

■議決権の50%超を直接、あるいは間接に保有する自然人(※)
■議決権の25%超を直接、あるいは間接に保有する自然人(※)
(※自然人とは、個人のほか、国や地方公共団体、上場会社等です)

 
「議決権を間接に保有する」とは、どのようなときでしょうか?
 
例えば、AさんがB社の議決権の51%を保有する場合、これは「直接に保有している」ということです。
 
一方で、AさんがC社の議決権の51%を保有し、C社がD社の議決権の51%を保有していたとします。これが、AさんがD社の議決権を「間接に保有する」ということです。
 

実質的支配者リストの提出はどんなときに行う? 何のために?

実質的支配者リストの提出を求められるのは、冒頭に述べた、金融機関での手続き(例えば、預金口座の開設や200万円を超える大口現金取引)や、不動産の取引(例えば、宅地建物の売買契約の締結)などのほかに、クレジットカード契約の締結、1回のリース料が10万円を超えるファイナンスリース契約のときに必要になります。
 
では、何のために実質的支配者リストの提出するのでしょうか?
 
それは、マネーロンダリングを防止するためです。マネーロンダリング、つまり資金洗浄とは、犯罪などによって得た収益の出どころを隠す行為です。
 
つまり、取引をする会社などの実質的な支配者を明確にすることで、マネーロンダリングを防止するために、実質的支配者リストの提出を求めるのです。
 

実質的支配者リストはどのように作るのか?

法務局のホームページには、記載例とともにPDF形式やWordファイルのひな型が用意されています。
 
具体的には、「実質的支配者情報一覧の保管及び写し交付申出書」と「実質的支配者情報一覧」というファイルを指します。これに、エクセルなどで作成した申出日における株主名簿を添付します。
 
2022年6月時点では、オンラインでの申請は認められていないので、司法書士などに手続きと申請を依頼するときには委任状が必要ですが、委任状のひな型も法務局のホームページに載っています。
 
また、実質的支配者が法務局の窓口に出向くときには、運転免許証両面のコピー(「原本に相違なし」という一筆が入れる)を添付します。
 
また、再交付や追加が必要となった場合には、「実質的支配者情報一覧の写しの再交付申出書」を作成して提出します。実質的支配者リストの保管と交付は無償です。
 

出典

金融庁 金融機関窓口や郵送書類等による確認手続にご協力ください

法務局 実質的支配者リスト制度が始まります!
法務省 実質的支配者リスト制度の創設(令和4年1月31日運用開始)
法務省 実質的支配者リスト制度Q&A
警察庁 犯罪移転収益防止法の概要について
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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