更新日: 2019.09.02 その他暮らし

友達に車を貸したら飲酒運転で事故に!同乗してなくても罪に問われるの?

友達に車を貸したら飲酒運転で事故に!同乗してなくても罪に問われるの?
友達に車を貸したことはありますか?

では、貸した車で飲酒運転が行われた場合、車を貸した人も罪に問われるという話を聞いたことはありますか?
また、車の借り主が交通事故を引き起こした場合、自動車の所有者にも責任があるといううわさもあります。これらは全て本当なのでしょうか?

Aくんの例を参考に見てみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

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池田理明

監修:池田理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所

第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。

居酒屋通いのTくんが「仕事で使う」と車を借りに来た

会社員のAくん(24歳)にはTくんという友達がいます。
 
お酒はたしなむ程度、にぎやかなところが苦手で真面目な性格のAくんに対して、Tくんは毎晩のように居酒屋に通い、飲み友達とわいわい過ごすのが日課です。正反対の二人ですが、お互い高校時代からの親友だと思っています。
 
ある日、Aくんの元にTくんが訪れました。
 
「悪いんだけど、明日1日だけ車を貸してくれない?」
 
Tくんは事情があって1週間ほど家族に自分の車を貸しているそうです。
 
「1日ならいいけど、何に使うの?」「仕事で使う。明日は社用車がみんな使われてるから、自分で用意しないと」
 
仕事で使うなら悪いようには使われないだろうと思い、AくんはTくんに車を貸すことにしました。Tくんはその日の内に、Aくんの車に乗って自宅に帰っていきました。
 

警察から電話が…「Tさんが飲酒運転で交通事故を起こし逮捕されました。自動車はAさんのもので間違いないですか?」

翌日、Tくんから「夜の10時頃には車を返しに行く」とメールが届きました。Aくんは特に車を使う予定もなかったので、「いつでもいいよ」と返事をしました。
 
その日の夜9時半頃、Aくんが会社から帰宅してのんびりテレビを見ていた時です。見ず知らずの番号から電話がかかってきました。
 
「はい」
 
「Aさんですか?〇〇警察署です」「Tさんが飲酒運転で交通事故を起こしました。自動車はAさんのもので間違いないですか?」
 
Aくんは予想外のことにドキリとしました。
 
「Tさんに車をお貸ししましたか?今、Tさんは飲酒運転で事故を起こしたので、逮捕されています。」
 
Aくんは頭が真っ白になりました。先ほどまで電話口で普通に話していたTくんが、今は逮捕されているのです。Tくんは仕事の後にいつも通り飲みに行き、Aくんの車に乗ってAくんの家に向かったようです。
 
注)本ケースは皆さまの理解の一助となるようフィクションで書かれています。
 

このような場合、Aくんが何か刑罰を受ける可能性はあるのでしょうか。東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしました。

このケースは、刑事上の問題と民事上の問題を分けて考えなければいけません。
 
まず、刑事上の問題としては、道路交通法上、「酒気帯び運転」が禁止されているのは当然ですが、お酒を飲んでいて運転すれば「酒気帯び運転」になるおそれがある者に対して車を提供することもまた、同じように罰されることがあります。
 
しかし、Aくんの場合、酒気を帯びていたTくんに車を貸したわけではありませんので、Aくんが刑事上の罪に問われることはありません。
 
もしTくんが酔っぱらっていると認識したうえで車を貸した場合、車両提供者も道路交通法上の刑事罰を受けることがあります。
 

刑事上の責任以外に気を付けたい民事上の責任!?

次に、民事上の問題としては、Tくんは飲酒運転の結果、事故を起こしたというわけですから、もしその事故が人身事故であった場合、Aくんは、自賠法(自動車損害賠償保障法)上の「運行供用者」としての責任を負うことになります。
 
自賠法は、単なる物損事故には適用されず、人身事故の場合に適用される法律です。同法は、被害者救済の観点から、人身事故があった場合に責任をとる人の範囲を広げており、車の保有者も運行供用者として、損害賠償の責任を負うと規定されています。
 
つまり、車を運転していた人だけでなく、車の運行を支配できる保有者にも損害賠償請求することができるように規定して、被害者を保護しているのです。
 
自賠責保険でカバーされる人身事故の保険金の範囲には限界があります(例えば死亡の場合は3000万円です。)。
 
それ以上の賠償責任がある場合、任意保険でカバーされていないと支払いきれないことがありますが、その任意保険において、家族以外が運転した場合は保険の対象外となる運転者限定特約を付している人は、要注意です。他人に車を貸すことは控えた方が良いでしょう。
 

車を貸す時は相手がお酒を飲んでないか、慎重に判断しよう

いかがでしたでしょうか。お酒を飲んでいる人に車を貸すことはないとは思いますが、それ以外の場合にも、本当に信用ができる人にしか車を貸すことはできませんね。
 
その場合にもしっかりと任意保険の対象となるかを確認したうえでないと、被害者にも思わぬ迷惑がかかります。
 
車は便利な乗り物ですが、人の命や身体を脅かす危険な道具でもあります。気軽に友人に貸すものではないということは、認識しておいた方が良さそうですね。
 
Text:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/
IT関連・エンタメ関連の企業法務を中心に、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応


 

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