更新日: 2019.08.29 その他暮らし

愛猫が帰ってこないと思ったら、よその家で飼われていた!取り返してもらえる?

愛猫が帰ってこないと思ったら、よその家で飼われていた!取り返してもらえる?
自分の飼っている猫がよそのお家におじゃましていて、違う名前で呼ばれている場面に遭遇したことがある人もいるのではないでしょうか。
 
猫を飼っている人は、室内と外を自由に行き来できるように猫用の出入口を設けている人もいます。
 
自分の猫が近所の人気者になっているのは嬉しいことですが、万が一そのまま帰ってこず、よその家で飼われてしまったらどうすればいいのでしょうか。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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池田理明

監修:池田理明(いけだみちあき)

弁護士/東京桜橋法律事務所

第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。

座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。

日本で飼われている犬と猫は1973万頭。飼い猫と比べ、飼い犬は減少傾向か

環境省によると、現在、日本全国で飼われている犬は988万頭、猫は985万頭、合計で1973万頭だそうです。
 
昔は犬の人気が根強くありましたが、最近では「散歩に行く時間がない」などの理由で、犬を飼う人は減少傾向だそうです。
 
それに対して飼い猫の頭数はほぼ横ばい。集合住宅でも犬と比べて飼いやすい点に加えて、最近の「猫ブーム」がその背景にあると思われます。
 
参考資料:環境省「人と動物が幸せに暮らす社会実現プロジェクト」現状と推移より
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/project/status.html
 

飼い猫を度々外に出していたKさん一家。ある日、猫はそのまま帰ってこず…

Kさん一家は都内の一軒家で「るう」という名前の猫を飼っています。
 
るうは、子猫の時にKさんが友人の家から譲り受けた猫です。もう13年も生きています。
 
Kさんの家では、るうが外に出たがっている時はドアストッパーを挟んで外に出し、いつでも帰ってこられるようにしていました。
 
るうはどこにでもいるような黒と茶が混ざったいわゆる「サビ猫」です。近所を歩いていても似たような野良猫に度々遭遇します。
 
「外を歩いていると野良猫に間違われてしまう」とKさんはるうに首輪をつけようとしましたが、るうは首輪をひどく嫌がり、つけることができませんでした。
 
ある日、いつものようにるうを外に出しましたが、なかなか帰ってきません。
 
心配になった家族はみんなで外に探しに行きました。遅くまで探しましたが、結局その日は見つけることができませんでした。
 

涙に暮れる日々…。そんな時、近所で「さび丸」と呼ばれていたその猫は…!

るうがいなくなって1週間。家族は悲しみに暮れていました。
 
そんな時、驚くべき場面に遭遇したのです。Kさんが近所のスーパーに買い物に出た時、知らない家の玄関から猫を抱えた女性が出てきました。
 
「あら~さび丸、いい天気だね~」
 
その腕に抱えられていたのは、るうそっくりの猫でした。え?まさか…。Kさんは女性に声をかけました。
 
「すみません、そちらの猫見せてもらっていいですか?」
 
猫に近寄ってみると、耳の内側にあるほくろ、小指だけピンク色になっている肉球…これは、まぎれもなくるうです。
 
「この猫、うちの猫です。先週から迷子になっていたんです」
 
Kさんはそう言うと、安堵で涙がこみあげてきました。しかし、女性からは予想外の反応が返ってきました。
 
「あなたの家の猫っていう証拠はあるんですか?この猫は度々家に来るからごはんをあげていたんです。首輪もつけていないし、野良猫だと思ったからうちで飼い始めました。あなたの猫とは違う猫です」
 
Kさんはあっけにとられました。
 
「いいえ、この子はうちのるうです!返してください!」
 
Kさんと女性の主張は平行線です。はたしてKさんは飼い猫を取り戻すことができるのでしょうか。
 
※物語はフィクションです
 

自分の飼い猫がよその家で飼われていたら、取り返すことはできるのでしょうか。東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしました。

最近、スーパーマーケットの出入口付近に飼い犬を繋いでおいたところ、盗難に遭うケースが増えているようです。
 
他人のペットを盗む人は、自分自身で飼う目的や転売する目的などがあるようですが、いずれの目的であったとしても、他人のペットだということを知りながら、ペットを連れ帰る行為は、窃盗や占有離脱物横領に該当します。
 
飼い主がその場にいなかったとしても、紐で繋がれていたり首輪がついていたりすれれば、誰かのペットであることは分かります。
 
そのようなペットを無断で持ち帰れば、ペットも他人の財物ですので、何らかの刑法犯罪にあたるのが当然でしょう。
 
ところが、前述の事案のように、猫に首輪がついていないような場合、他人の所有に属さない野良猫と勘違いされて、他の誰かがペットにしてしまうケースもあります。
 
そのような場合は、ペットを飼い始めてしまった人にも悪気はなく、つまり窃盗や占有離脱物横領の故意がなく、刑法上の処罰を求めることは難しくなります。
 
その場合でも、ペットを法律的に評価すると飼い主の所有物ですので、民法上の所有権に基づいて返還を求めることは可能です。ただし、相手が本気で「うちの猫だ」などと主張した場合、法的な手続きで取り返すためには、自分の猫であることを証明する必要が生じます。
 

自分のワンちゃん、猫ちゃんの特徴を写真に収めたり、GPS首輪を使用してみよう

取り戻すことはできると言っても、相手が本当に野良猫だと思って飼いだしていたり、とぼけて嘘をついたりして、返還に応じないケースも考えられますね。
 
池田弁護士によると、その場合、裁判で返還を求めるためには、どうしてもその猫が自分の所有物であることを立証する必要があるそうです。
 
名前をつけた首輪をつけていたとしても、それを外されてしまうと誰の猫だったか分からなくなります。そこで、最近ではペットの体にマイクロチップを埋め込む人が増加しているようです。マイクロチップはペットの確実な身分証明書となるため、いざという時に安心です。
 
普通の注射より少し太いチップ注入器によって、体内に注入します。費用は犬や猫の場合は数千円、動物病院などで簡単に処置することができるようです。
 
マイクロチップを利用していない場合は、自分のペットの特徴的な部分を写真に撮っておく他にも、GPS機能のついた首輪などがおすすめです。GPS首輪をペットにつけておけば、正確な居場所を確認することができます。
 
もしもの時、大切な家族を失わないためにも、検討してみてはいかがでしょうか。
 
Text:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/


 

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