「事業承継・引継ぎ補助金」とは? 中小企業をどんなふうに支援している? 申請要件は?
配信日: 2022.11.30 更新日: 2022.12.01
そのような場合の支援として、かかった経費の2分の1、最大650万円を補助する制度があります。
執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)
CFP(R)認定者、行政書士
宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
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社長の高齢化
東京商工リサーチの調査によると、2021年の社長の平均年齢は62.77歳となっており、高齢化により業績悪化が進む傾向がみられます(図表1、2)。
図表1
出典:東京商工リサーチ 2021年「全国社長の年齢」調査
図表2
出典:東京商工リサーチ 2021年「全国社長の年齢」調査
社長が高齢であることが原因で、社会の変化に対応できず新規事業への進出も難しくなることがあります。このような状況に陥った場合に活用したい補助金があります。今回は、令和4年度当初予算の「事業承継・引継ぎ補助金」の内容を確認していきます。
事業承継・引継ぎ補助金概要
この補助金は以下の3種類に分かれ、「廃業・再チャレンジ事業」については「経営⾰新事業」「専⾨家活⽤事業」との併用も可能です。
1.経営⾰新事業
事業承継・事業再編・事業統合を契機に新たな取り組みをする事業の経費を一部補助するものです。引き継いだ経営資源を活用して経営革新などに取り組み成長が見込まれる中小企業と個人事業主に対する支援で、以下の3種類が対象となっています。
(1)創業支援型
廃業を予定している者などから、株式譲渡・事業譲渡などにより経営資源を引き継いで、法人または個人事業主として開業する場合。
(2)経営者交代型
産業競争力強化法に基づく特定創業支援事業を受ける者など、経営などに関して一定の実績や知識などを有している親族や従業員が事業承継をする場合。
(3)M&A 型
産業競争力強化法に基づく特定創業支援事業を受ける者など、経営などに関して一定の実績や知識などを有している者が事業再編・事業統合などのM&Aをする場合。
2.専⾨家活⽤事業
中小企業の経営資源の引き継ぎに関する専門家活用の費用を補助します。
(1)買い⼿⽀援型
株式・経営資源を譲り受ける予定の中⼩企業などを⽀援。
(2)売り⼿⽀援型
株式・経営資源を譲り渡す予定の中⼩企業などを⽀援。
3.廃業・再チャレンジ事業
(1)単独申請
M&Aで事業を譲り渡せなかった株主や個人事業主が、新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する場合。
(2)併用申請
経営⾰新事業・専⾨家活⽤事業に伴う廃業。
対象経費
1.経営革新事業
⼈件費、店舗等借⼊費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝⾦、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場借料費、外注費、委託費、廃業費(廃業⽀援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費⽤)など
2.専⾨家活⽤事業
謝⾦、旅費、外注費、委託費、システム利⽤料、保険料、廃業費(廃業⽀援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用)など
3.廃業・再チャレンジ事業
廃業費(廃業⽀援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費⽤)など
補助経費の要件と補助額
以下の(1)~(3)の条件を全て満たす経費で、事務局が認めたものが補助対象経費となります。
(1)使用目的が補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
(2)補助事業期間内に契約・発注を行い支払った経費
(3)補助事業期間終了後の実績報告で提出する証拠書類などによって金額・支払いなどが確認できる経費
図表3 ≪補助額≫
筆者作成
※交付申請時の補助額が補助下限額を下回る申請(一例として補助下限額100万円の場合は補助対象経費200万円未満)は受け付けられない。
要件など
要件については毎回変更があるため、利用を検討するときは公募要領を確認してください。令和4年当初予算に関しては、要領公開が2022年7月7日、交付申請受付期間が2022年7月25日~2022年8月15日午後5時となっていました。要領が公開されてから準備を始めるのでは時間が足りません。早めに認定支援機関や専門家に相談し、計画的に準備を進めておきましょう。
出典
東京商工リサーチ 2021年「全国社長の年齢」調査
令和4年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助⾦のご案内
令和4年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助⾦ 経営革新事業【公募要領】
令和4年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助⾦ 専門家活用事業【公募要領】
令和4年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助⾦ 廃業・再チャレンジ事業【公募要領】
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士