補正予算からみる、来年の事業者向け補助金
配信日: 2022.12.06
今回は、これら補助金について2022年度との変更点などを見ていきたいと思います。
執筆者:長崎元(ながさき はじめ)
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。
長崎元行政書士事務所 HP
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事業再構築補助金
事業再構築補助金の予算額は5800億円です。令和3年は6123億円だったので、5%程縮小されています。
<成長枠の新設>
新たな枠が追加されました。それが成長枠です。
市場規模が10%以上拡大する業種・業態への転換を図ることが申請要件となっています。この枠に申請する場合は、売上減少要件が不要となる点は大きなポイントです。補助上限額は7000万円で補助率は原則2分の1(条件付きで3分の2に引き上げ)です。
事業再構築補助金はもともと、業種転換、業態転換を検討している事業者が申請することが多い補助金です。この枠の使用を検討してみるのもよいでしょう。
<産業構造転換枠/サプライチェーン強靭化枠の新設>
これらも新たに追加された枠です。産業構造転換枠は、事業再構築補助金の成長枠とは反対に、市場規模が10%以上縮小する業種・業態からの転換を要件としています。補助上限は7000万円、補助率は3分の2です。廃業費用がかかる場合は補助上限に2000万円が上乗せされます
この枠に合わせ、国外から国内への回帰を促進するサプライチェーン強靭化枠というものも新たに追加されました。こちらは補助上限が5億円で補助率は2分の1と大型の枠となっています。国外から国内への回帰ということで、申請できる事業者は限られますが、要件を満たすことができるならぜひ使いたい枠です。
<卒業促進枠の新設>
補助事業が終了してから3~5年で中小・中堅企業から中堅・大企業となった場合に、補助上限が2倍となる枠です。
<グリーン成長枠>
グリーン成長枠が「スタンダードクラス」と「エントリークラス」の2つにわかれました。この枠は、カーボンニュートラルに関する14の分野で事業再構築を目指す事業者に用意された枠で、これまでは“2年以上の研究開発・技術開発、または人材育成”が申請要件とされていました。
今回新たに設けられたエントリークラスでは、この期限が1年間に短縮されています。期限が短縮されたことで要件を満たしやすくなった分、補助上限は最大8000億円(中堅1億円)と、これまでの1億円からは減少しています。なお、スタンダードクラスが、研究期間2年、補助上限1億円と、これまでと同等となっています。
なお本年度、多くの事業者が利用されたと思われる「事前着手」制度。交付決定前に支払った費用も対象となるので非常に使い勝手が良い制度です。公募要領が出たら内容を必ず確認しましょう。安易に“2022年と同じ“と考えて動いてしまうと、補助金の対象外となってしまう可能性があります。
グリーン成長枠の対象となる14の分野
ものづくり補助金
これまでのグリーン枠が、温室効果ガスに対する取り組みの度合いに応じて3つのクラス(エントリー/スタンダード/アドバンス)に分かれました。スタンダードが、これまでと同等の補助上限・補助率になります。
これまで申請要件を満たすことができなかった事業者や、反対にスタンダードの補助上限では足りなかった事業者が、その度合いに応じたクラスを選択することができるようになり、幅広いニーズに対応可能となりました。
このほか、海外展開に関する枠として「グローバル市場開拓枠」が新設されたり、最低賃金の引き上げで補助上限が最大1000万円に引き上げる措置の追加がされたりするなどの変更が加えられています。
小規模事業者持続化補助金/IT導入補助金
これらは、2022年度に引き続きインボイス対応となる見込みです。IT導入補助金に関しては、5万円の補助下限額が撤廃されます。これで、安価なために補助金を使用することができなかったツールも導入可能となります。
今回は補助金に関して、中企庁が発表した資料を見ました。あまり影響のある変更はないようですが、詳細は今後、補助金ごとに公開される公募要領で必ず確認してください。
なお、補助金は申請をしても、採択されないといけません。そのためには申請要件を満たすだけでなく、事業計画が重要です。
申請を検討されている事業者は、
●今、どのような状況なのか?
●何をやりたいのか?
●なぜ、やりたいのか?
●やるとどうなるのか?
これらをしっかりと準備して、申請に備えましょう。
(※)経済産業省 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
出典
中小企業庁 令和4年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連)【1兆1190億円】
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表