「クリスマスケーキ1人3個売ってね!」とバイト先でノルマを課せられました…これって「違法」ですか?

配信日: 2022.12.23

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「クリスマスケーキ1人3個売ってね!」とバイト先でノルマを課せられました…これって「違法」ですか?
クリスマスシーズンになると、ファストフード店やコンビニなどでも、積極的にクリスマスケーキを販売する店員の姿を目にします。実際に、アルバイト先でケーキの販売を担当した経験を持つ人もいるでしょう。その際、クリスマスケーキの販売数や売り上げなどにノルマを設定され困惑する人もいるようです。
 
本記事では、アルバイト店員に対してノルマを課すことの違法性や、罰金や自腹を強要された際の対応について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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アルバイトでノルマを課すのは違法?

まず、「クリスマスケーキを1人3個売ってください」と店長や社員から言われたとします。この程度の表現であれば、特に問題はありません。
 
アルバイト店員に対しての発言であっても、すぐさま違法とはならないでしょう。ノルマは、そもそも働く人たちに課せられる仕事の量を示す言葉です。これがあらかじめ設定されていること自体は特に問題はなく、雇用形態にかかわらずノルマの設定はごく一般的です。
 

・ノルマ未達成で罰金や自腹はNG

違法となる可能性があるのは、あらかじめ設定されたノルマが達成できなかった際のお店側の対応に問題があるケースです。例えば、「クリスマスケーキを1人3個売ってください。もし売れなかった場合は残りを買い取ってください」などと言われたら、これは違法となります。お店や企業は、ノルマ未達成の際に労働者に罰金や自腹での買い取りを求めてはいけません。
 
労働基準法の第16条「賠償予定の禁止」に違反するためです。人や企業に損害を与え、それを償うことを賠償といいます。しかし、お店や企業が賠償を予定したうえで労働者と契約することは禁止されています。
 
そもそも、アルバイト店員は労働に従事することのみが義務となります。これは、民放の第623条や労働契約法の第6条からも解釈できます。つまり、結果を出すことは義務とはなりません。今回の例でみると、クリスマスケーキの販売に従事する義務は果たす必要があるものの「1人3個売ること」は義務とはならないのです。
 
そのため、たとえノルマが達成できなくても、アルバイト店員はその責任を負う必要は一切ないといえます。
 
また、店長や社員から「売れなかった分のクリスマスケーキを買い取れ」などと要求された場合、刑法の第223条に違反する可能性があります。脅迫や暴行などを伴った場合は強要罪となり、間違いなく違法です。
 

・売り上げなどの目標設定のみであればOK

「クリスマスケーキを1人3個売ってね!」という表現が店舗全体での単なる目標設定であれば、特に問題とはなりません。労働者の士気を高めたり団結力を強めたりする目的で目標設定することは多々あります。
 
また、目標を達成した人にはインセンティブを与えるなどがあれば、これも違法とはなりません。店長や社員が目標を設定し働く人たちに提示した際は、ノルマ達成時、あるいは未達成時の扱いがどうかという点に着目しましょう。そのうえで違法性の有無について考える必要があります。
 

困ったときは労働基準監督署などに相談を

アルバイト先でノルマが設定され、達成できなければ罰金や自腹での買い取りとなると前もって言われた場合や、ノルマ未達成時に罰金などを強要された場合は断固として拒否しましょう。身近な人に相談しても構いません。
 
もし相談する相手がすぐに見つからない場合は、労働基準監督署などに相談してください。労働基準監督署などに設置されている総合労働相談コーナーでは、労働条件などに関する相談を無料で受け付けています。罰金などを支払ってしまった後でも相談可能です。
 

ノルマが単なる目標か罰金等を伴うものかの判断が重要

クリスマスケーキの販売目標を、アルバイト店員個人に設定すること自体は特に問題はありません。しかし、ノルマ未達成時に罰金などのペナルティーを課すのは、労働基準法や民法などの解釈からも明らかな違法行為です。自腹での買い取りの強要などがあれば刑法に違反する恐れもあります。もしそのような状況に出くわしたら、すぐに労働基準監督署などに相談しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法

e-Gov法令検索 民法

e-Gov法令検索 労働契約法

e-Gov法令検索 刑法

厚生労働省 確かめよう労働条件 アルバイトを始める前に知っておきたいポイント

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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