更新日: 2022.12.26 その他暮らし

もし若年性認知症になったら…。若年性認知症を発症した人の約6割は収入の減少を実感。利用できる支援制度を紹介

もし若年性認知症になったら…。若年性認知症を発症した人の約6割は収入の減少を実感。利用できる支援制度を紹介
一般的に認知症といえば、高齢者の方が発症する病気と認識している方も多いと思いますが、実は65歳未満の方でも発症する病気です。
 
現役世代で発症してしまうと、家計に大きな影響を及ぼします。この記事では、若年性認知症を発症した人が知っておきたい支援制度について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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若年性認知症になると経済的に困窮するおそれがある

認知症は、一般的には高齢者が発症する病気ですが、65歳未満で発症した場合を「若年性認知症」といいます。
 
働き盛りの年齢で発症するため、本人だけでなく、ご家族の生活への影響が大きくなる可能性があります。病気が原因で仕事に支障が出てしまい、退職せざるを得なくなって、経済的に困難な状況に陥るかもしれません。
 
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所の「『わが国における若年性認知症有病率・生活実態把握』に関する調査研究報告書」によると、若年性認知症発症後の世帯収入の変化についての質問に対して、「減った人」が 57.4%と、約6割の人が収入の減少があったと回答しています。
 
また、未成年の子どもがいる場合には、親の病気が与える心理的影響が大きく、進学や就職、結婚などの人生設計に大きく影響が出る恐れがあるほか、年齢的にもご本人や配偶者の親の介護が重なることもあり、介護の負担がより大きくなります。
 

知っておきたい支援制度

若年期認知症の方が利用できる支援制度を5つご紹介します。
 

介護保険制度を利用

介護保険制度では、介護サービスを利用したときは、所得に応じてかかった費用の1~3割が自己負担になります。認知症の場合、65歳未満でも40歳以上であれば、第2号被保険者として介護保険が利用できます。
 
市区町村がどの程度の介護が必要かを認定し、必要度が高い人ほど、たくさんのサービスを利用できます。
 

自立支援医療制度(精神通院医療)

認知症で通院治療している場合、病院や薬局の窓口で支払う医療費の1割のみが自己負担となります。ただし、世帯の所得や疾病等に応じて自己負担額の上限が定められています。
 

精神障害者保健福祉手帳の交付

認知症などの精神疾患があり、日常生活に支障がある場合は、「精神障害者保健福祉手帳」の申請ができます。病状によっては「身体障害者手帳」に該当する場合もあります。
 
これらの手帳があれば、さまざまなサービスを受けることができ、企業の障害者雇用枠として働き続けられる可能性もあります。
 
受けられるサービスには税制の優遇措置、公共交通料金や施設の利用料の割引などがあり、詳細は市町村の窓口にご確認ください。
 

障害年金

障害年金は、障害や病気によって生活や仕事に支障が出た場合に受給できる公的年金です。障害厚生年金の場合には「1級~軽度の障害まで」と、受給対象の範囲が広くなっています。
 
障害厚生年金と障害基礎年金は併用ができるため、障害厚生年金と一緒に障害基礎年金が支給されます。
 

成年後見制度

認知症など、判断能力が不十分な人を法律的に保護し、支援する制度です。本人の意思決定や財産管理、契約などの支援をするために、「成年後見制度」の利用も検討してもよいでしょう。
 
成年後見には、判断能力が低下した後に家庭裁判所に後見人を選任してもらう「法定後見」、判断能力が低下した際に支援してくれる人や内容を、公正証書によりあらかじめ決めておく「任意後見契約」があります。
 

まとめ

若年性認知症を発症した人向けの支援制度について、いくつかご紹介しました。
 
経済的な困窮などさまざまな問題を解消するためにも、自分や家族が若年性認知症と診断されたら、まずは医療機関のソーシャルワーカーやお近くお近くの地域包括支援センター、市区町村の窓口、若年性認知症コールセンターなどに相談しましょう。
 

出典

厚生労働省 若年性認知症ハンドブック
厚生労働省 介護保険制度の概要
厚生労働省 自立支援医療(精神通院医療)の概要
日本年金機構 障害年金
法務省 成年後見制度・成年後見登記制度
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所「わが国における若年性認知症有病率・生活実態把握」に関する調査研究報告書
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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