30代で賃貸と持ち家購入、どっちが得? それぞれのメリット・デメリットとともに解説

配信日: 2022.12.31

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30代で賃貸と持ち家購入、どっちが得? それぞれのメリット・デメリットとともに解説
賃貸と持ち家ではどちらが得なのでしょうか。この結論は、結局のところ「人それぞれ」です。ただ、この問題に直面した方は、何かしらの情報や判断基準が欲しいことでしょう。
 
本記事では、30代の方がこの問題に直面したとして、賃貸と持ち家のどちらが得(良い)のかについて解説します。それぞれのメリットとデメリットについても解説しますので、参考にしてください。
中村将士

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

賃貸と持ち家のそもそもの違い

「賃貸と持ち家を比較してどちらが得か」という問題は、お金(費用)に焦点を当てた場合の問題といえます。つまり、「どちらの費用負担が小さいのか」ということが論点になります。しかし、家を借りるにしろ買うにしろ、関心はそれだけではないはずです。
 
賃貸と持ち家のそもそもの違いは、家(と土地)を持つか持たないかの違いです。言い換えれば、「所有するリスクを誰が負うのか」ということです。賃貸の場合は大家さんが、持ち家の場合はご自身が、所有するリスクを負うことになります。
 
賃貸と持ち家のメリットとデメリットを比較する場合、最初に「所有しているので(所有していないので)」を付ければ、全て説明が付きます。例えば、それぞれのメリットとデメリットをまとめると、表1のようになります。
 
【表1】

メリット デメリット
賃貸 ・住環境を変えやすい
・税金などの維持管理費がかからない
・資産にならない
・家賃を払い続けなければならない
・設備や間取りを自由にできない
持ち家 ・資産になる
・ローン返済後は経済的に楽になる
・設備や間取りを自由にできる
・住環境を変えにくい
・ローンに拘束される
・税金などの維持管理費がかかる

 

持ち家の方が得

このテーマに関し、あえて結論するなら、持ち家を購入した方が得です。
 
例えば、あなたが不動産を購入するとします。自宅とするか賃貸に出すかは決めていません。賃貸に出すことを想定し、周辺の家賃相場を調べたとします。周辺の家賃相場を調べたところ、購入を予定している不動産は、家賃15万円で貸せそうです。あなたは、いくらならこの不動産を購入するでしょうか。
 
不動産の価格を求める方法に、収益還元法というものがあります。収益還元法は、収益価格(不動産の価格)を以下の式によって算出します。
 
収益価格=(年間収入-年間支出)÷還元利回り
 
先の例では、年間収入は180万円(=15万円×12ヶ月)です。仮に、年間支出を30万円、還元利回りを5%とします。すると、収益価格は以下のようになります。
 
収益価格=(180万円-30万円)÷5%=3000万円
 
ここから、この不動産の価格は3000万円が妥当であり、それ以下であれば割安であり、購入しても良いと判断できます。
 
別の見方をすると、この不動産を賃貸に出したとき、20年で3000万円の資金を回収できるともいえます。つまり、21年目以降に“うまみ”が生じます。住宅ローンを組んだ場合は、住宅ローン完済後が、この状態になります。
 
不動産を購入した場合、その購入代金全額が費用になるわけではありません。実質的な費用は、購入代金から売却代金を差し引いた部分です。残りの部分については、「現金・預金」から「土地・建物」に資産を振り替えたにすぎません。
 
一方、賃貸の場合は、その全てが費用となります。建物の維持管理費については、賃貸と購入で大差はないでしょう。その費用は家賃に含まれていると考えるのが妥当です。
 
30代の場合、持ち家を購入した方が得なのは、住宅ローンを組んでも、返済するための時間的余裕があるからです。住宅ローンの金利が低いこと、住宅ローン控除を利用できることも要因として大きいです。
 
ただ、住宅ローンは、定年前に完済することが理想的です。定年を迎えたあとは、収入が大きく減少する可能性があるからです。退職金で一括返済をお考えの場合でも、その額は少ないに越したことはありません。退職金は、なるべく老後資金に充てましょう。
 

まとめ

本記事では、30代の方の場合、持ち家購入の方が得と結論しました。ただし、所有するリスクを負っても構わないのであれば、という条件が付きます。賃貸の場合、所有するリスクは大家さんが負っています。リスクを負わないことへの対価を、「家賃」という形で支払っているのです。
 
不動産の価格の算出方法として、「収益還元法」を紹介しました。持ち家を購入した方が得と結論付けたものの、購入金額は幾らでも良いというわけではありません。収益還元法で算出した金額を、参考価格としていただき、なるべく低い金額で購入するよう心掛けてください。
 
30代の方は、住宅ローンを返済するための時間的余裕があります。とはいえ、教育資金や老後資金なども蓄えなければならず、資金計画をシビアに考える必要があります。住宅を購入する際には、契約をする前に、資金計画(返済計画)を立てておくことも重要です。
 
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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