更新日: 2023.02.28 その他暮らし
生活保護の適用条件とは? 受給する際の注意点もあわせて解説!
本記事では生活保護の適用条件、そして受給する際の注意点について解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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生活保護の適用要件(※1)
生活保護は、資産や能力など、あらゆるものを活用することを前提とし、必要な保護を提供します。生活保護を受けられる人は、以下のような状態にある人です。
1.不動産、自動車、預貯金のうち、直ちに活用できる資産がない人(ただし、不動産や自動車については例外的に認められる場合があります)
2.働けない、または働いていても必要な生活費を得られない人
3.年金や手当など、社会保障給付を活用しても、必要な生活費を得られない人
生活保護が適用されるかの判断は、世帯単位で行います。世帯員全員が利用できる資産や能力その他あらゆるものを、最低限度の生活の維持に活用することが前提です。
また、扶養義務者の扶養は、生活保護法に優先します。そのため親族などから援助を受けられる人は、援助を受ける必要があります。そのうえで世帯の収入と最低生活費を比較し、収入が最低生活費に満たない場合に保護が適用されます。
生活保護の適用を受けるには、まず活用できる資産があるなら活用しなければなりません。預貯金や生活に利用されていない土地や家屋などの不動産があれば、売却して生活費に充てる必要があります。
また、働くことができる人は、能力に応じて働かなければなりません。さらに、年金や手当などほかの制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用します。
<最低生活費とは>
最低生活費とは、厚生労働大臣の定める基準で計算されるもので、世帯員の年齢や人数によって決まります。生活扶助基準は第1類と第2類に分かれており、各世帯員の第1類基準額を合計して、世帯の人数に応じた逓減率を乗じたものに世帯の人数に応じた第2類基準額を加えて計算します。
基準額は(1)と(2)に分かれており、「生活扶助基準(第1類+第2類)(1)×0.855」または「生活扶助基準(第1類+第2類)(2)」のいずれか高いほうに生活扶助本体の経過的加算をしていき、最終的な最低生活費が認定されます。
生活保護の手続き
生活保護を受けるための手続きの流れは、以下のとおりです。
<事前相談>
住んでいる住所地を管轄する福祉事務所にて、事前相談を行います。そのうえで生活福祉資金や各種社会保障の活用を検討します。
<申請>
生活保護の申請を行うと、以下のような調査が行われます。そして調査の結果生活保護が必要だと認定されれば、保護費が支給されます。
・生活状況の把握(家庭訪問など)
・預貯金や保険、不動産などの資産調査
・扶養義務者による扶養可否の調査
・年金や社会保障給付、就労収入などの調査
・就労の可能性の調査
<生活保護の種類>
生活保護には、以下の8つの扶助が用意されています。
1.生活扶助:日常生活に必要な費用(食費、被服費、光熱費など)
2.住宅扶助:アパートなどの家賃
3.教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
4.医療扶助:医療サービスの費用
5.介護扶助:介護サービスを受けるための費用
6.出産扶助:出産費用
7.生業扶助:就労に必要な技能の修得などにかかる費用
8.葬祭扶助:葬祭費用
生活費を申請する際の注意点(※2)
生活保護の申請において、扶養義務者の扶養が優先しますが、同居していない親族に事前に相談しなければならないわけではありません。
また、申請の条件に施設への入居の同意はありませんので、現在住むところがない人でも申請可能です。持ち家がある方でも申請可能です。生活保護の申請において、利用できる資産は活用することが要件ですが、居住用の持ち家については保有が認められる場合があります。
また、必要な書類がそろっていなくても申請は可能ですので、まずは福祉事務所に相談しましょう。 さらに、現在求職中の人は、以下の点に注意しておきましょう。
1.働く能力がある人はその能力を活用することが生活保護の要件ですが、現状で十分に求職活動を行うことが難しいと認められる場合は、働く能力を活用するという要件についていったん判断されず、保護を受けることができるケースがあります。
2.自動車については処分が原則ですが、通勤用の自動車を持ちながら求職している場合であれば、処分せずに保護を受けることができるケースがあります。
3.自営業のために必要な店舗や器具についても、処分しないまま保護を受けることができるケースがあります。
受給者の義務(※3)
生活保護を受給する人には、以下の義務があります。
・利用し得る資産、能力その他あらゆるものを生活のために活用する義務
・能力に応じて就労し、健康の保持および増進に努め、収入や支出その他生計の状況を適切に把握するとともに、支出の節約を図り、その他生活の維持や向上に努める義務
・福祉事務所から、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導もしくは指示を受けた場合に従う義務
まとめ
生活保護の申請は国民の権利ですが、その前に扶養義務者の扶養が優先されます。また、申請後に同居していない親族に対して扶養の可否を確認されます。また、受給にあたっては義務が設けられていますので、受給している間はその義務をきちんと守るようにしましょう。
出典
(※1)厚生労働省 生活保護制度
(※2)厚生労働省 生活保護を申請したい方へ
(※3)厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員