当時の刀剣の価値を3つの時代で比較!これまでに取引された最高額は5億円!?
配信日: 2023.04.04
今回は、三つの時代において、当時の刀剣の価値がどれくらいだったかを調べてみました。これまでの最高額で取り引きされた刀剣も紹介しますので、ご一読ください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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刀剣は当時の価値でどのくらいだった?
武士が力を持ち始めた平安時代の末期より、日本刀の需要が増えたといわれています。それ以降も、治まることのない戦や、活躍した武士への褒美などのために、日本刀は数多く生産されました。
ここでは、時代とともに変化する日本刀の特徴や、当時はいくらくらいで取り引きされていたのか、三つの時代に分けて解説します。
平安時代の刀剣
平安時代の日本刀は、騎馬戦での利用が主だったため、騎乗で振り回しやすいものが好まれたようです。武家は、実践向きで日本刀の原型と考えられている「毛抜形太刀」、公家は装飾用の飾剣や細剣を所持していました。
当時の一般的な刀剣は、現在の紙幣価値で1本70万~100万円ほどで取り引きされたといわれています。「正宗」「村正」のような有名な刀鍛冶の作品は高値が付きやすく、銘の彫られた日本刀は、数千万円にも及んだと考えられます。
鎌倉時代の刀剣
武士の台頭により、日本刀の需要が急激に高まった鎌倉時代。刀剣は争乱に用いられることが多くなり、武器としての制作技術は大幅に向上しました。備前長船住兼光が作った刀剣は最上大業物に分類され、当時の価値で2000万~3000万円といわれています。
鎌倉時代から江戸時代にかけて活躍した刀匠の記録によると、一般的な刀剣は1両~30両ほどで取り引きされていたようです。1両は江戸時代のお金で、現在の紙幣で約10万円の価値があることから、10万〜300万円が相場であったことが分かります。
なお、鎌倉時代のお金は「文」ですが、江戸時代と物価はほぼ同じであったことから、刀剣の値段相場もおおむね同様であると考えられます。
室町時代の刀剣
室町時代になると、平和な時期に、美術価値の高さを重視した刀剣が制作されるようになりました。国内での需要は減りましたが、東アジアの銭貨を輸入するために、輸出用の刀剣を大量生産したといわれています。
戦国時代に移り変わると、低品質の「数打物」が出回るようになりました。また、鉄砲の伝来で戦のスタイルが変わり、馬上で振り回す大型の刀剣よりも、片手で扱いやすいものが好まれるようになりました。
当時の物価は安定しておらず、刀剣の値段相場を知るのは難しいようです。ただし、戦国時代に美術的価値のある刀剣が約10貫文(約60万円)で取り引きされたといわれていて、室町時代の武士に関しても同様であると考えられます。
なお、室町時代に刀剣のランク付けが行われるようになり、安土桃山時代にかけて「天下五剣」が成立し、現在でも国宝・重要文化財として保管されています。
これまでに取り引きされた最高額の刀剣は5億円!?
「大包平」は、安土桃山時代の戦国武将、池田輝政が所持していた名刀です。代々池田家に伝えられてきたこの名刀を、1967年に文部省が6500万円で買い上げました。現在の紙幣価値に換算すると、2億6000万円に相当します。
これを大幅に更新したのが「山鳥毛」です。上杉謙信が所持した名刀として知られていますが、作られたのは岡山県瀬戸内市。この名刀を買い戻すために、2018年に「山鳥毛里帰りプロジェクト」が発足しました。寄付金は目標額の5億円を超え、2020年に売買契約が成立すると、史上最高額の刀剣となりました。
日本が誇る美術品! 時代背景から好みの日本刀を選ぶのはいかが?
日本刀は武器としての高い機能に加え、美術的な観点からも、国内外で多くの人を魅了してきました。2015年に登場したシミュレーションゲーム「刀剣乱舞」がきっかけとなり、富裕層だけでなく、若い層のファンも増えたといわれています。
権威・信仰の対象ともなる美しい武器「日本刀」。制作された時代背景を考慮に入れつつ、好みの日本刀を探してみるのはいかがでしょうか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部