更新日: 2023.04.13 その他暮らし
2月から「電気代・都市ガス代」に補助が! 電気代「値上げ」が先送りになっても今後の審査結果は要チェック!
一部の電力会社の電気代の値上げは先送りされる見込みですが、その動向次第では補助による効果も「焼け石に水」になりかねない可能性もあります。
今後の電気代や都市ガス代はどうなるのでしょうか。2月から実施されている国による補助の概要とともに解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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電気代と都市ガス代が上がっている要因とは
なぜ、電気代と都市ガス代は大幅に上がってしまったのでしょうか。
・値上げの要因
電気代と都市ガス代が上がっている要因としては、輸入に頼る火力燃料(液化天然ガスや石炭など)の価格上昇と円安などが挙げられます。
2021年の秋口から新型コロナ禍で落ち込んだ景気が回復に向かったことで、電気や都市ガスの原料となる火力燃料の需要が世界的に増加しました。価格が上昇していたところにウクライナ危機や円安が重なったことで調達コストが増大、耐えきれなくなった小売事業者は値上げに踏み切るしかない状況に追い込まれてしまったのです。
・値上げの仕組み
電気と都市ガスは、「燃料費調整制度」と「原料費調整制度」という仕組みによって価格が決定されています。
両制度では、火力燃料それぞれの貿易統計価格の3ヶ月平均値に基づいて、毎月の電気代とガス代を調整しています。そのため、例えば1~3月の燃料価格が電気代と都市ガス代に反映されるのは6月からです。なお、値上げには経済産業省による認可が必要になります。
電気代と都市ガス代に関する補助の概要
電気代と都市ガス代の値上がりを受けて、国は消費者の負担軽減策として「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を開始しています。
・「電気・ガス価格激変緩和対策事業」とは
「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は、電気代と都市ガス代の高騰による消費者の負担を軽減するための緊急対策です。
電気や都市ガスの小売事業者は、2023年1月以降の電気代と都市ガス代の使用分(2023年2月以降の請求分)から、使用量に応じた値引きを行います。国は、値引きを行った小売事業者に対して、その分の原資を補助するという仕組みです。
・電気と都市ガスの値引き額
資源エネルギー庁によると、標準世帯の1~8月使用分の電気代が1kWh当たり7円(9月使用分は同35円)、標準世帯の1~8月使用分の都市ガス代が1立方メートル当たり30円(9月使用分が同15円)の値引きになるということです。
なお、1ヶ月当たりの値引き額は請求書や検針票などで確認できます。
4月以降の電気代と都市ガス代はどうなる?
国による電気代と都市ガス代の負担軽減策が始まりました。2023年4月からは電気代の新たな値上げが決定・予定されていましたが、経済産業省の審査厳格化で先送りの可能性が高まっています。一方で大手ガス会社は都市ガス代の値下げを発表しています。
・4月以降の電気代はどうなる?
大手電力会社10社のうち、東北・北陸・中国・四国・沖縄の各電力会社は4月以降の、東京電力と北海道電力は6月以降の値上げを経済産業省に申請していましたが、経済産業省の値上げ幅を審査する有識者専門会合は、家計負担の軽減に向け審査を厳格化しており、5社が当初値上げ実施を目指した4月から2ヶ月以上先送りされる見通しとなっています。
また、6社は直近の燃料価格の下落を反映させ申請中の上げ幅を圧縮していますが、今後の審査でさらなる対応を求められる可能性があります。
・4月以降の都市ガス代は値下げが決定
東京・大阪・東邦・西部の各都市ガス会社は、液化天然ガス(LNG)の価格が低下傾向にあることから、4月の都市ガス代の値下げを決定しています。値下げ額は、東京ガスが238円、大阪ガスが237円、東邦ガスが66円、西部ガスが182円です。
値上げ先送りも、今後の経済産業省の審査結果に注目!
2021年の秋口から、電気代と都市ガス代の値上がりが続いてきました。コロナ禍からの景気回復による需要の増大、ウクライナ危機、円安などがその要因です。
国民や企業への負担を軽減するために、国は値下げをした電気と都市ガスの小売事業者を補助する事業を開始し、一定の効果を上げています。
経済産業省の審査厳格化を受けて電力会社の値上げが6月以降に先送りとなり一安心ですが、あくまで先送り・値上げ幅の圧縮ですから、これからの各電力会社の対応と経済産業省の審査結果に注目しましょう。
出典
資源エネルギー庁 電気・都市ガスを利用するみなさまへ
資源エネルギー庁 燃料費調整制度について
資源エネルギー庁 ガスの原料費調整制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部