更新日: 2023.04.27 その他暮らし

親に「進学費用」を使い込まれた場合、返してもらえる? 「横領罪」などには該当するの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

親に「進学費用」を使い込まれた場合、返してもらえる? 「横領罪」などには該当するの?
将来の自分の進学ために貯金し、目標金額に近づいてきたときには喜びも大きいものです。それだけに、その貯金が保護者に使い込まれていた場合、それを取り戻したい気持ちになるのは当然でしょう。
 
では、未成年で保護者(今回は親と設定)と同居というケースで、自分でためていた進学費用を使い込まれたときには返してもらえるのでしょうか。本記事では家族間で貯金を使い込まれた場合に罰則があるのかについて解説します。
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親は子どもの財産を管理する権利が認められている

まず、前提として、未成年の子どもの財産については、民法第824条に「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する」とあります。
 
つまり、親は子どもの財産を管理することが法的に認められているため、通帳などを預かり、管理することについては問題ありません。
 

・財産管理権は子どもが18歳になるまで

親権の効力による親の財産管理権は、子どもが18歳(成人年齢)に達するまでです。成人後の財産管理権は子どもになるため、成人した際に財産を誰が管理するのかについて、あらかじめ子どもと話し合っておく必要があります。
 

・子どもの財産を親が私的に使用するのは「財産管理権の濫用」になる

民法で親権として認められているのは、あくまでも財産の管理です。預かっている子どもの財産を、たとえ子どものために使う場合であっても、子どもの了解がないのに使用することは基本的には認められる行為ではありません。
 
未成年の子どもを扶養するのは親の義務であり、子どもに関する費用のすべてを親が支払う必要があります。
 
例外は収入が少なく、生活が苦しい場合で、そういったケースでは子どもの財産を使ったとしても財産管理権の濫用とならない場合もあります。ただ、その場合も子どもから許可をもらったうえでという前提になるでしょう。
 

刑法では親族間の横領などは処罰対象外

前述したように、たとえ親でも、子どもの財産を私的に使用することは許されません。子ども自身がアルバイトをしてためていたお金は、子ども自身の財産です。そのため、今回のように子どもがためていた進学費用を親が使い込んだ場合は罪にあたります。
 

・子どもの貯金の私的使い込みは横領罪になる

横領罪とはほかの人のものを自分の財産のように偽って使用したり、売ったりすることです。刑法252条には「自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する」とあります。
 
子どもから頼まれるなどして預かっていた貯金を勝手に引き出して使い込んだ場合、本来であれば横領罪が適用されるので親は5年以下の懲役が科せられるでしょう。しかし、親族間では、横領罪になる行為であっても処罰の対象外になります。
 

・刑法では親族間の横領罪・窃盗罪は免除される

刑法257条には「配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する」とあります。
 
簡単にいえば、夫・妻、祖父母、父母、子ども、孫、同居している親族、それぞれの夫・妻との間で横領罪や窃盗罪があっても、それは罪に問われません。ただし、共犯者がいた場合で、それが親族以外であれば、その人は横領罪、窃盗罪になります。
 

親を横領罪に問うことはできない

子どもが18歳になるまでは、親に財産管理の権利があります。ただし、あくまでも管理だけであり、財産を親の好きに使っていいわけではありません。もし、親が私的に子どもの財産を使用した場合は横領罪や窃盗罪になる可能性が高いです。
 
なにより、人として許される行為ではないでしょう。しかし、刑法において親族間のそういった犯罪は免除されてしまうので、罰が課されることはありません。そのため、親と話し合うなどして、使い込んだ財産を自主的に返金してもらえるようにする必要があります。
 

出典

e-Gov 法令検索 民法 第4章親権 第2節親権の効力(財産の管理及び代表)第824条
e-Gov 法令検索 刑法 第39章 盗品等に関する罪 第257条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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