離婚時は「負債」も財産分与の対象!? ギャンブル依存症の夫の借金は妻も支払わないといけないの…?
配信日: 2023.05.03
そこで、ギャンブル依存症の夫と離婚する妻が財産分与で負担する負債の範囲について解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
財産分与とは
財産分与とは、離婚時に夫婦の一方から他方に対して財産を分けるよう請求できる制度です。財産分与は下記のような性質を有すると解されています。
・婚姻生活中に築いた財産の分配
・離婚後の生活の保障
・離婚の原因を作ったことへの損害賠償
財産分与は名義にかかわらず、婚姻期間中の夫婦の協力によって得られた財産が対象になります。そのため、夫名義の家や株式といった財産も財産分与の対象です。
また、財産分与においては一方から他方への内助の功も考慮します。例えば、夫が働いて得たお金を自身の名義で貯金している場合でも、妻の協力があって得られた財産と考えられるため、財産分与の対象になるというわけです。
なお、結婚前から有する財産や婚姻中に得た財産であっても相続で親から引き継いだ遺産など、夫婦の協力とは関係なく取得したものは離婚時の財産分与の対象外になります。
財産分与は妻から夫へ請求されるものというイメージもありますが、夫よりも妻の方が高収入であったり、妻名義としている財産が多かったりするケースでは、夫から妻へ財産分与の請求がなされることもあります。
財産分与には負債も含まれるがギャンブルの借金は対象外!
財産分与の対象となる財産には預貯金や家、株といったプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。例えば、夫婦で生活する家を購入するために借りた住宅ローンのほか、子どもの教育費や生活のために借り入れたお金などがマイナスの財産として挙げられます。
ただし、個人的な目的で借り入れたお金に関しては財産分与の対象外となります。例としては、ギャンブルや個人的な浪費による借金です。
こういった借金は婚姻生活のために借り入れたお金ではありません。そのため、夫がギャンブルで作った借金は離婚時の財産分与の対象とならず、妻が負担する必要はありません。
勝手に保証人にされている場合は?
めったにあることではありませんが、夫が借金をする際に妻を勝手に保証人としていることがあります。こういった場合、基本的に妻は保証人としての責任を負って夫の借金を返していく必要はありません。たとえ夫婦であっても、無断で相手の名前を使って行った契約のすべてが影響してくるわけではないのです。
しかし、妻がそれを知ってもなお放置していたというような場合は、責任を負う可能性も出てきます。
また、現実には無断で行われた契約であるかを証明するのは非常に困難なケースもあるため、勝手に名前を利用されていることを知ったら名義を変更するなど、早めの対応が必要です。
まとめ
離婚時の財産分与では、預貯金など婚姻中に夫婦の協力によって得たプラスとなる財産だけではなく、住宅ローンといった負債、すなわちマイナスの財産も対象になります。しかし、すべての負債が対象になるわけではなく、個人的な浪費による借金など、夫婦の婚姻生活に必要ではない負債は対象外です。
従って、夫がギャンブルで個人的に作った借金を、妻が財産分与によって負担する必要はありません。
財産分与は考え方が難しく、当事者間の話し合いではうまくまとまらないこともあります。そういったケースでは弁護士など専門家に相談したり、家庭裁判所に調停を申し立てたりすることで財産分与を円滑に進められる場合があります。
執筆者:柘植輝
行政書士