更新日: 2023.05.10 その他暮らし
有休を取得しようとしたら「私用ではダメ」と言われました。「理由」を伝えなければダメなのでしょうか?
例えば、私用で有給休暇を取るため、正直に「私用」と書いたら上司から私用での有給休暇は取得できないと言われることもあるでしょう。
本記事では、有給休暇を取得する際に私用を理由とした取得はできないのかを解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
有給の理由は「私用」で問題ない
結論を言えば、有給休暇の取得では、会社に明確な理由を伝える必要はありません。法律で定められた労働者の権利だからです。「私用」を理由とする有給休暇の取得は問題なく認められます。
多くの会社で有給休暇を申請する際に、取得理由を記載する項目が設けられていますが、仮に理由がなかったとしても問題はなく、取得できないことはありません。しかし、現実には上司が有給休暇取得の理由を確認し、場合によっては「私用」では許可しないことも多いようです。
理由を聞くことは違法ではない
有給取得の際、会社に理由を伝える必要はないと説明しましたが、会社が労働者に有給休暇の理由を聞くこと自体は、違法ではありません。
しかし、理由を示さなかったことで有給休暇が取得できないというのは違法行為になります。また有給休暇を取得する際に上司が難癖をつけて、理由を示すことを強要したり、会社での立場を不利にさせるようなことをしたりすれば、パワハラにもなるでしょう。
穏便に済ませる方法
有給休暇を取得する際に手続きを穏便に済ませるには、例えば体調不良や通院で休むことや、冠婚葬祭、行政の手続き、家族の用事のためといった理由を正直に伝える方法があります。
有給休暇を取得するためにわざわざ明確に理由を示したくなければ、私用で押し通すことも可能です。しかしそこまでして権利を主張したくない場合、正直に理由を記載して穏便に済ませるのも1つの方法でしょう。
有休が自由に取得できない時がある
有給休暇は、基本的には労働者が自由に使用できます。しかし、会社側で拒否できる場合もあるのです。有給休暇を取得してしまうことで、著しい業務の支障がある場合などの場合です。
著しい業務の支障として、例えば、他の多くの社員が有給休暇を取得したことで代替できる人がいない場合や、有給申請している社員しか担当できる業務がなく、さらに業務の期日が短いような場合があります。
なお、有給休暇取得の権利を拒否するわけではなく、会社はあくまでも取得時期を変更させることができるのみとなるため、別の日に取得は可能です。
その他に有給休暇が自由に取得できない場合は、会社が計画年休を制度化している時です。労使協定を締結していると、労働者の有給休暇の取得日を、会社が計画年休として決められる制度となります。
すべての有給休暇が対象ではなく、付与している日数のうち5日を超える部分が対象です。例えば、年間の有給休暇が10日ある場合、5日分を計画年休として会社で決められます。一般的には、夏季休暇や年末年始の休暇などを計画年休としていることが多いです。
有給休暇は労働者の権利
有給休暇は労働者の権利です。しかしそのことを認識していない企業では、取得しづらかったり、執拗(しつよう)に理由を求められたりします。
しかし、取得できないことがそもそも問題でもあります。国も働き方改革の一環として、労働者が有給休暇を取得しやすい環境を作ろうと関係法律の整備を行ってきました。有給休暇を取得したいと思っているのならば、何も気負うことなく権利を主張することをおすすめします。
出典
厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士