【行政書士が解説】友人が貸したお金を全く返さない…。この状況で「内容証明郵便」の送付って有効?

配信日: 2023.05.19

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【行政書士が解説】友人が貸したお金を全く返さない…。この状況で「内容証明郵便」の送付って有効?
「友人がお金を返さないので内容証明郵便で返済を促したい。」そういった依頼はここ10年、筆者の元に毎月何件も舞い込んできます。おそらく、専門家に相談していないものの、このように友人間のお金の貸し借りで悩んでいる方は相当多いと思います。
 
そこで今回は、友人にお金の返済を促すために内容証明郵便を送付することが有効であるか考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、誰が、誰に対して、どのような内容の文書を、いつ送ったかということを郵便局が証明してくれる文書です。内容証明郵便の有効性は、実際に裁判や調停などで証拠として用いられることもあるほどです。
 
ただし、送付文書の内容自体が真実である旨の証明はされません。内容証明郵便を送ってしまえば無条件でこちらの言い分が通用するというものではないのです。
 
内容証明郵便は、自分で作成し、郵便局で送付することもできます。しかし、文書の内容は郵便局に残りつづけるため、法的文書の作成に長けた行政書士など専門家に依頼して穴のない文書として作成されることが一般的です。
 
参考までに、行政書士に内容証明郵便の作成を依頼した場合にかかる報酬は平均2万1141円、電子内容証明なら2万3120円となるようです。
 
友人に貸したお金が専門家への報酬額を上回るのであれば、お金の返済を促すために内容証明郵便の送付を専門家に依頼するのは悪い選択ではないでしょう。
 
逆に、貸した金額が1万円や2万円など少額で、専門家への報酬が上回る場合は専門家に依頼して送付するより自分で送付した方がいいでしょう。
 

内容証明郵便を送っても返済を受けられるとは限らない

メールや電話、対面で話してもお金の返済に応じない友人に対して、返済を促す旨の内容証明郵便を送付することは一定の効果があります。普段見慣れない様式の文書から、ある程度の威圧感を与えることができるからです。そこに弁護士や行政書士など専門家の名前があれば、なおさら「まずい」と相手に思わせ返済を促すことができます。
 
しかし、内容証明郵便に返済を強制するだけの力はなく、あくまでも返済を促すだけです。無視をされてしまえばそれまでです。強制的に取り立てをするには裁判手続きによらなければなりません。なお、裁判手続きの中で、返済を促したことを証明する書類のひとつとして、その内容証明郵便を利用することは可能です。
 
このように、内容証明郵便は友人にお金の返済を促す有効な手だてのひとつではありますが、絶対の手段ではありません。
 
とは言え、対面や電話など他の手段で返済を促す前に、内容証明郵便をいきなり送るのは避けたほうがいいでしょう。その後の人間関係が修復不可能となったり、むしろ相手の神経を逆なでして返済から余計に遠のいてしまったりするおそれもあります。
 

内容証明で返済を受けられるのはどれくらいの額?

明確に統計があるわけではないのですが、筆者の感覚としては、返済額が月収を超えるような金額になると内容証明郵便を送っても返済を受けられないことが多いように感じます。
 
特に20万、30万円の額になってくると、返済能力の問題や、こういった方法で督促を受けることに慣れていてなんとも思わないなどの理由から内容証明郵便を無視され、返済を受けられない場合もあります。時には内容証明郵便の受け取り自体を拒否されることもあります。
 
現実的には、返そうと思えばいつでも返せる額、例えば10万円以内の額であれば、相手がよほどお金に困っているなど例外的な状況を除いて、内容証明郵便によって返済を受けられるでしょう。
 

内容証明はお金の返済を促すのに有効だが絶対ではない!

お金を返さない友人に対して内容証明郵便を送付し、本気である姿勢を見せて返済を促すというのはひとつの方法として一定程度の有効性があります。しかし、内容証明郵便に返済を強制させる力はなく、必ずしも返済を受けられるとは限りません。
 
もし、友人からお金の返済を受けるために内容証明郵便を利用するのであれば、状況の整理など含めそれが有効な手であるのかどうか、行政書士など専門家に相談してみることをおすすめします。
 

出典

日本行政書士会連合会 報酬額の統計
 
執筆者:柘植輝
行政書士
 

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