子どもの歯科矯正に健康保険は適用されるの? 医療費控除は?
配信日: 2023.09.01
執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
歯科矯正は健康保険適用外
結論からいうと、子どもの歯科矯正は一般的には健康保険適用対象外です。健康保険は病気やけがをしたときの治療に対して適用されるものですが、歯科矯正はこれら治療に当てはまりません。一般的には予防のために行われるため健康保険の対象外です。
また、健康保険対象外ということは、高額療養費も対象外です。歯科矯正は高額になりがちですが、残念ながら貯蓄から支出するのが一般的でしょう。
ただし、顎(がく)変形症の手術前後の療養や咬合(こうごう)異常に対しては、健康保険適用が認められます。具体的には、以下のような疾患が健康保険適用となります。
●唇顎口蓋裂
●ダウン症候群
●筋ジストロフィー
●顔面半側肥大症
●軟骨形成不全症
●毛髪・鼻・指節症候群
●その他顎・口腔の先天異常
上記は、健康保険適用となる疾患の一部ですが、令和5年現在、健康保険が適用される歯科矯正の疾患は61種類です。なお、保険適用となるためには、厚生労働省に届け出た医療機関で受ける治療が対象となります。治療を受ける際は、この点も合わせて確認しておきましょう。
医療費控除を受けることは可能
では、歯科矯正の医療費控除はできるのでしょうか。美容整形のための歯科矯正は医療費控除の対象となりませんが、子どもの成長を阻害しないために行われる歯科矯正は医療費控除の対象です。
また、通院のための交通費も医療費控除の対象です。付き添いが必要なら付添人の交通費も対象となります。ただし、交通費が医療費控除の対象となるのは、交通機関を利用した場合であり、家の車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は医療費控除の対象となりません。
なお、歯科矯正は高額なためローンを組むこともあるかもしれません。この場合もローン契約が成立した年の医療費控除の対象となります。
まとめ
歯科矯正自体が高額なのはもちろんですが、きょうだいで矯正が必要となるとさらに医療費が高額になります。制度を正しく活用して、家計負担を少しでも軽くしていきましょう。
出典
厚生労働省保健局 保険診療の理解のために 【歯科】 (令和5年度)
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士