【所得制限なし】大阪府の「高校完全無償化」でどう変わる? 大学も無償化に?
配信日: 2023.10.05
執筆者:平原あかり(ひらはら あかり)
社会保険労務士・FP2級
新制度はいつから実施される?
新制度は2024年度の高校3年生から段階的に適用され、2026年度に全学年で授業料の完全無償化をめざします。(2024年度:高校3年生のみ対象→ 2025年度度:高校 2・3年生が対象→ 2026年度:全学年が対象)
私立高校の場合は2024年度の3年生、2025年度の2・3年生は、それぞれ年収800万円未満の世帯で授業料が無償となり、年収800万円以上の世帯では標準授業料(63万円)超過分のみの負担となる見込みです。
対象となるのは大阪府内の高校だけ?
大阪府内の公立高校と、現行制度に加わっている大阪府内の私立高校96校は新制度にも引き続き参加する見込みです。
また京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県の高校については、新制度案を説明したうえで各校の参画意向確認を行うとのことですが、他府県私学団体からは「自らが決めた授業料を徴収できず、学校負担が生じる制度には課題がある」「大阪府から通う生徒とそれ以外の生徒で授業料負担に不公平が生じる」「授業料の改定に所轄庁ではない府の承認を必要とする制度は問題」などの批判的な意見も出ています。
近畿1府4県以外の高校は、近畿1府4県における新制度の適用状況を見ながら、今後の実施手法を検討するとしています。
大学も無償化の対象になる?
大阪府内の公立大学(大阪公立大学、大阪府立大学、大阪市立大学および大阪公立大学工業高等専門学校)に通う大阪府民についても所得制限なしの無償化制度案が可決されました。
公立大学の無償化も高校の無償化と同様に2024年度から段階的に実施予定です。大学の無償化でも所得制限は撤廃されますが、大阪府内在住要件、国籍・在留資格に関する要件、学業成績等に関する要件については別途定められています。
無償化の財源はどこから?
高校無償化の新制度完成後の大阪府の財政負担額の見込みは年間約383億円+α。現行制度の継続分154億円を除く拡充分の財源確保については、税金負担が増えるのではないかと懸念する声もあります。
制度案では財源については蓄積してきた財政調整基金の活用や、母校応援ふるさと納税制度の創設が検討されています。
大阪府の吉村洋文知事は「高校教育の授業料の完全無償化を目指すことに、大きな一歩を歩むことができたことを本当に嬉しく思いますし、これが大阪の子供たちの未来になれば、という思いでこれからも進めていきたいと思います」と発言しています。
無償化についての制度案は2023年9月から始まる府議会を経て確定する予定です。全国初の所得制限なしの高校授業料無償化。賛否ある新制度ですが、全国に広がっていくのか今後の動向が気になります。
出典
大阪府 戦略本部会議資料 大阪における高校・大阪公立大学等の 授業料等無償化制度(案)について
執筆者:平原あかり
社会保険労務士・FP2級