父が「昔はガソリンが90円だった」と言っていますが、安すぎませんか? なぜ今は倍近くになっているのでしょうか?

配信日: 2023.10.27

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父が「昔はガソリンが90円だった」と言っていますが、安すぎませんか? なぜ今は倍近くになっているのでしょうか?
ガソリン価格の高騰が続いています。2023年8月7日に180円を突破したレギュラーガソリン価格(全国平均)は値上がりを続け、同年9月4日には186円を超えました。90円台だった時代から考えると、約2倍の値上がりです。
 
政府の対応によって同年10月10日には約177円まで下がりましたが、高値は続いています。一体なぜ、2倍近くも上昇しているのでしょうか。本記事では、その背景などを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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過去30年のガソリン価格の推移

資源エネルギー庁の石油製品価格調査によると、1993年10月25日のレギュラーガソリン価格(全国平均)は122円でした。その後も、一時的な値上がりはありながらも低下傾向が続き、98年1月5日には100円を切ります。
 
98年10月26日に91円を記録した後は上昇傾向に転じ、2000年4月10日には100円に戻りました。その後は98~105円前後の間で推移していましたが、2004年4月5日に106円台に突入してからは上昇傾向に転じ、同年11月15日には120円に到達しました。
 
その後しばらくは小幅の上下動を繰り返しますが、2007年11月12日には150円にまで上昇し、2008年7月7日には初めて180円を突破。それ以後は106~170円台で推移していましたが、2023年9月4日に最高値を更新する186.5円にまで上昇したのです。
 

ガソリン価格高騰の要因

質問にある90円というのはレギュラーガソリン価格が91円前後で推移していた1998年10月下旬から99年中頃までの価格を指していると思われます。
 
たしかに、この時代と比べると、現在(2023年10月時点)のレギュラーガソリン価格は約2倍にまで上昇しています。では、その高騰の要因には何があるのでしょうか。影響として考えられるのは、次の5点です。
 

・経済の回復や寒波の到来

2021年は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことで経済が回復の兆しを見せ、エネルギー需要が急速に高まってきました。そこに、2022年初旬のアメリカ南部への猛烈な寒波の到来が重なったことが、ガソリン価格高騰のきっかけになったと考えられます。
 

・ロシアによるウクライナ侵攻

経済の回復や寒波の到来などによって原油価格が高騰していた2022年4月に、ロシアによるウクライナ侵攻が始まります。
 
この侵攻に対する制裁の1つとして、多くの国がロシア産エネルギーの輸入を禁止しました。ロシアにエネルギーを依存していた国々が新たな輸入先を求めたことから、石油を含むエネルギー価格が世界的に急騰しているのです。
 

・サウジアラビアによる減産

2023年になると値下がりすることもあった原油価格は、7月になって原産国のサウジアラビアが自主的な追加減産に踏み切ったことで再び上昇することになります。
 
なお、追加前の自主的な減産(日量50万バレル)は2024年12月末まで、今回の追加減産(日量100万バレル)は2023年12月末まで継続される予定です。
 

・円安

円安による影響も大きくなっています。日本の原油海外依存度は99.7%です。そのため、ガソリン価格は原油価格だけでなく、輸入時の為替の動きによっても大きな影響を受けるのです。
 
現在(2023年10月時点)の為替レートは1ドル140円台の円安が続いています。その結果として原油の輸入価格が上昇し、ガソリン価格の高騰に拍車が掛かっているという状況です。
 

・補助金の縮小

高騰を続けるガソリン価格を抑制するための緊急的な措置として、政府は2022年1月27日から「燃料油価格激変緩和補助金」を始めました。これは、ガソリン価格の全国平均が基準額を上回った場合に、石油元売り会社に補助金を支給するという施策です。この施策によって、一時的にガソリン価格は下がりました。
 
ところが、それを理由に政府が補助金の上限や補助率を引き下げたことから、ガソリン価格は再び上昇してしまったのです。なお、当初は2023年9月末で終了する予定だった当補助金は、ガソリン価格の再上昇を受けて12月末までの延長が決定されています。
 

今後の政府の施策に注目しよう

レギュラーガソリンの価格が90円台の時代もありましたが、現在(2023年10月10日時点)は170円台後半です。政府による石油元売り会社への補助金によって抑制傾向にはあるものの、それでもまだ1998年の下旬から99年の中頃までの価格と比べれば、2倍近い高値が続いています。
 
政府は石油元売り会社への補助金延長を決めましたが、国民からは二重課税の解消やトリガー条項の凍結解除を求める声が上がっています。このような声が政府の施策にどのような影響を及ぼすのか。この先の動向に注目していきましょう。
 

出典

資源エネルギー庁 石油製品価格調査 調査の結果
資源エネルギー庁 燃料油価格激変緩和補助金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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