ママ友が「児童手当」に加えて「児童扶養手当」をもらっているようです。私も子どもを「扶養」しているのでもらえるでしょうか? 年収要件などはありますか?
配信日: 2023.10.30
「児童」という言葉がつくので、子育て世帯であれば受給できそうな印象を受けるかもしれません。しかし、実は児童手当とはまったく異なる手当で、受給できる世帯は限られます。本記事では、児童手当と児童扶養手当の違いについて解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
目次
児童手当と児童扶養手当
児童手当と児童扶養手当は、どちらも子育て世帯のために設けられた制度であり、現金が給付されます。名称が似ていますが、支給対象となる子どもの範囲や支給額はそれぞれ異なります。
児童手当は「中学校卒業までの子ども」がいる世帯が対象
児童手当は「中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子ども」を養育している養育者に支給されるものです。簡単にいうと家庭に中学生以下の年齢の子どもがいれば、基本的には児童手当を受給できます。
受け取れる児童手当の額は対象となる子どもの年齢によって異なります。令和5年10月現在、子ども1人当たりの支給額は「3歳未満が月額1万5000円」「3歳以上小学校修了前が月額1万円(第3子以降は1万5000円)」「中学生が月額1万円」となっています。年3回に分けて支給されます。
ただし養育者の所得によっては、手当が減額されたり支給されなかったりすることもあります。子どもが生まれた時や住所が変わった時には申請が必要で、申請が通って認定が受けられれば、申請した月の翌月分の手当から支給されます。
児童扶養手当は「ひとり親等」の世帯が対象
児童扶養手当は主に「ひとり親世帯の子ども」を養育している養育者に支給されるものです。離婚や死別などの理由でひとり親世帯であり、年齢要件を満たす子どもがいれば、基本的に児童扶養手当を受給できます。
手当の対象となるのは、18歳の誕生日後の最初の3月31日までの間にある児童を監護する者(母、父、祖父母など)です。子どもの年齢は、「高校卒業までの子ども」と考えると分かりやすいでしょう。ただし障害がある児童は20歳の誕生日の前日まで支給されます。
児童手当のような「子ども1人につき〇〇円」という支給方法ではありません。所得に応じて世帯ごとに「全部支給」か「一部支給」に分けられます。令和5年10月現在、「全部支給」は月額4万4140円、「一部支給」は所得に応じて月額4万4130円から1万410円まで10円刻みの額が、年6回に分けて支給されます。
第2子以降がいる場合、この金額に加算されます。加算額は全部支給と一部支給で異なりますが、第2子であれば月額1万420円から5210円、第3子以降であれば6240円から3130円です。子どもが生まれた時や住所が変わった時には申請が必要で、申請が通って認定が受けられれば、申請した月の翌月分の手当から支給されます。
離婚した場合や、父や母のどちらかが死亡した場合、児童扶養手当の支給対象となる可能性があり、受給するためには自治体への申請が必要です。申請が通れば、認定請求をした日の属する月の翌月分から支給されます。
条件を満たせば両方の手当の受給が可能
児童手当と児童扶養手当は、受給条件を満たせば両方受給できます。児童扶養手当は「ひとり親である」という条件を満たさなければ受給対象には該当しないため、児童手当と比較すると対象になる世帯は限定されるといえるでしょう。
両方該当する場合は必ず申請を
児童手当と児童扶養手当は、どちらも国の子育て支援策ですが、支給要件や支給額には大きな違いがあります。どちらも申請手続きをしないと支給されず、申請が遅れた分の手当は受給できないという点は同じです。「受給対象になるかな?」と思ったらお住まいの自治体に問い合わせ、なるべく速やかに申請するようにしましょう。
出典
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
こども家庭庁 児童扶養手当について
こども家庭庁 支援局家庭福祉課 ひとり親家庭等の支援について
執筆者:山田麻耶
FP2級