子どもに「低脂肪乳」って良くないですか? 普通の牛乳が高いので、低脂肪乳に変えようか迷っています。栄養面でどんな違いがあるでしょうか?
配信日: 2023.10.31
そんな中、スーパーなどでは、牛乳に比べて割安な「低脂肪乳」をアピールする店が増えています。物価高が続くなかで価格が安いのは喜ばしいことですが、「低脂肪」と聞くと、どうしても栄養面が気になってしまうのではないでしょうか。
本記事では牛乳と低脂肪乳の違いなどを解説するとともに、それぞれの価格差も紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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牛乳が値上がりしている原因とは
牛乳が値上がりしています。大手乳業メーカーによると、紙パック入り牛乳(1000ml)の全国平均価格は2022年9月には213円でしたが、2023年9月には253円にまで上昇しています。その背景には何があるのでしょうか。
・牛乳価格の決まり方
牛乳は、乳牛からしぼられた生乳から作られます。この生乳の価格を「乳価」と呼びます。乳価を決めるためには、指定生乳生産者団体と乳業メーカーとの交渉による合意が必要です。
交渉は、生乳の需給状況、市場動向、酪農家の経営状況といった、さまざまな要因や条件を総合的に考え合わせながら行われます。
・牛乳値上がりの原因
指定生乳生産者団体と乳業メーカーは2023年8月から、乳価の10%引き上げを行っています。それを受けて、牛乳の小売価格も値上がりしました。乳価が引き上げられた要因は、飼料や光熱費などの高騰です。
日本では飼料の8割を輸入に頼っていますが、ウクライナ情勢によって配合飼料価格は上昇しています。また、牧場や乳業メーカーでは多くの電気、ガソリン、資材などを消費しますが、こういったエネルギーや資材の価格も高い水準にあります。
低脂肪乳の栄養面は大丈夫?
低脂肪乳(低脂肪牛乳)も牛乳も、原料は同じ「生乳100%」です。では、低脂肪乳にも牛乳と同程度の栄養成分が含まれているのでしょうか。
・牛乳とは
牛乳は生乳を加熱殺菌したもので、加水や成分除去は一切行われていません。
なお、牛乳パックの乳脂肪分や無脂乳固形分表示の%に「以上」という言葉が付いていますが、これは牛乳の成分が季節によって変動するためです。
・牛乳の栄養成分
牛乳は、水分(87.4%)と乳固形分(12.6%)でできています。乳固形分は、乳脂肪分(3.8%)と無脂乳固形分(8.8%)に分かれます。無脂乳固形分に含まれている主な成分は、タンパク質(3.3%)、炭水化物(4.8%)、カルシウムなどのミネラル類(0.7%)です。
・低脂肪乳とは
低脂肪乳は、生乳から乳脂肪分やミネラルなどの一部を除去した成分調整牛乳のうち、乳脂肪分を0.5%以上1.5%以下にしたものです。除去された乳脂肪分は、バターやチーズなどの乳製品の原料となります。
つまり、「低脂肪牛乳を作ることで、生乳から低脂肪牛乳以外の利益を得られる」ので値段が安く設定されているのです。
・低脂肪乳の栄養成分
低脂肪乳のほとんどは8%以上の無脂乳固形分が確保されています。この数値は牛乳とほとんど変わりません。そのため、牛乳と同程度のタンパク質やカルシウムなどの栄養成分が摂取できると考えていいでしょう。
牛乳と低脂肪乳の価格差はどれくらい?
某ネットスーパーで価格を確認すると、2023年10月時点で最も安い紙パック入り牛乳(1000ml)の小売価格は259円程度です。
一方、最も安い紙パック入り低脂肪乳(1000ml)の小売価格は209円程度となっています。最も安い牛乳と最も安い低脂肪乳の間には、2割程度の価格差があると考えていいでしょう。
牛乳が高いと感じているのなら低脂肪乳を試してみよう
最も安い紙パック入り牛乳(1000ml)と、最も安い紙パック入り低脂肪乳(1000ml)の価格差は約2割です。そのため、家計のことを考えるなら断然低脂肪乳のほうがお得といえます。
問題は栄養面ですが、低脂肪乳は生乳に含まれる乳脂肪分を低下させたもので、牛乳と比べて栄養面に大差はありません。もし、牛乳が高いと感じているのなら、一度割安な低脂肪乳を試してみてはどうでしょうか。
出典
農林水産省 2023年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと課題について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー