更新日: 2023.10.31 子育て

正社員じゃないと「退職」するしかない? アルバイトや派遣社員でも「産休・育休」を取るための条件を解説

執筆者 : 平原あかり

正社員じゃないと「退職」するしかない? アルバイトや派遣社員でも「産休・育休」を取るための条件を解説
「産休・育休は正社員でないと取れない」と思っている方もいるのではないでしょうか。アルバイト・パートや派遣社員の場合でも、一定の条件を満たせば産休・育休を取得することができます。
 
産休・育休を取得すれば給付金が支給されますが、制度を知らずに退職してしまうと収入はゼロになってしまいます。本記事では、産休・育休を取るための条件と、正社員以外の方が産休・育休を取る際の注意点をお伝えします。
平原あかり

執筆者:平原あかり(ひらはら あかり)

社会保険労務士・FP2級

産休・育休の取得条件は?

産休の場合

産休(産前・産後休業)の取得には条件はありません。アルバイト・パート・派遣社員でも勤続年数に関係なく取得できます。産前休暇は労働基準法において「女性が希望した場合は産前6週間は女性を就業させてはならない」と定められています。
 
また、産後休業については、同法において「産後8週間(女性が希望した場合は6週間)を経過しない女性を就業させてはならない」と定められています。
 
正社員でないからといって産休の取得を拒否することは労働基準法違反となり、会社は罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となります。ただし、産後6週間経った女性が請求した場合、医師が支障ないと認めた業務であれば就業することができます。
 

育休の場合

育休には一定の取得条件があり、条件を満たしている場合のみ取得できます。育休を取得するための条件は以下の通りです。


・1歳未満の子を養育する男女労働者であること

・有期雇用労働者の場合、申し出時点において、子が1歳6ヶ月に達する日までに契約が満了することが明らかでないこと

・日々雇い入れられる者でないこと

・労使協定の締結により取得対象外となっていないこと(引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により、除外することが可能とされる)

育児・介護休業法によって、上記の条件を満たしている場合、会社は育休取得希望者の申し出を拒むことはできないと定められています。
 
育児・介護休業法に、会社に対する直接の罰則規定はありませんが、厚生労働大臣から会社に報告を求めたり、助言や勧告などがなされる可能性があります。
 

産休・育休は取れても給付金がもらえない場合がある

産休・育休を取得するための条件は上記の通りですが、上記の条件を満たせば給付金をもらうための条件も満たしているとは限りません。
 
産休中の給付金である「出産手当金」を受給するための要件は社会保険に加入していることです。社会保険に加入していれば加入期間は問われず、入社直後であっても受給することができます。
 
出産手当金の1日あたりの金額は、過去12ヶ月の給料(標準報酬月額)を基準とした日給の2/3相当です。一方、育休中の給付金である「育児休業給付金」を受給するためには、雇用保険の加入期間等の要件を満たす必要があります。要件は以下の通りです。


・1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した、雇用保険の被保険者であること

・育児休業を開始した日前2年間に雇用保険に加入しており賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12ヶ月以上あること

・有期雇用労働者の場合、子が1歳6ヶ月に達する日までに契約が満了することが明らかでないこと

・1支給単位期間中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること(支給単位期間とは、育児休業を開始した日から起算した1ヶ月ごとの期間)

なお、「賃金支払基礎日数」とは出勤日と有給取得日を合わせた日数のことです。アルバイト・パートで勤務日数が少なめの方の場合、勤務日数が11日(または勤務時間が80時間)に満たない月は1ヶ月としてカウントされないため注意が必要です。
 
育児休業給付金の1日あたりの金額は、休業開始時賃金日額(育児休業を開始する前6ヶ月間の賃金÷180)×67%(ただし、育児休業の開始から181日目以降は50%)です。仮に、休業開始時賃金日額が1万円だった場合、育児休業給付金は6700円となります。
 
また、育休中に臨時で勤務した場合にも、1支給単位期間中(1ヶ月ごとの期間)の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下である場合は給付金を受給することができます。
 
給付金の支給と合わせて、産休・育休中は社会保険料が免除となりますが、こちらは加入期間等に関わらず適用されます。
 

正社員でなくても産休・育休は取れる

上記の通り、条件を満たせば正社員でなくても産休・育休は取得できます。さらにそれぞれの条件を満たせば、休業中も出産手当金・育児休業給付金によって休業前の手取りの7~8割程度を受給できます。
 
給付金があるのとないのとでは出産前後の生活が大きく変わってくることと思います。ぜひ退職する前に自身が条件を満たしているかどうか確認してみましょう。
 

出典

厚生労働省 女性労働者の母性健康管理等について
厚生労働省 育児・介護休業法のあらまし
 
執筆者:平原あかり
社会保険労務士・FP2級

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