更新日: 2023.11.07 その他暮らし

いいなと思った部屋が「瑕疵物件」でした。前の住人が病死したそうなのですが、家賃が安くてもやめるべきでしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

いいなと思った部屋が「瑕疵物件」でした。前の住人が病死したそうなのですが、家賃が安くてもやめるべきでしょうか…?
気に入った賃貸物件を見つけたと思ったけれど、説明を聞いてみると前の住人が部屋の中で亡くなっていたような場合、家賃は安くなるのでしょうか。また、家賃が安かったとしても、このような事情のある物件を借りるのは不安だと感じる人もいるでしょう。
 
そこで、どのような事情があればいわゆる「瑕疵(かし)物件」とされるのか、また家賃は安くなるのか、そのような部屋に入居しても大丈夫なのかなどについて説明します。
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どのような事情があれば瑕疵物件となるのか

瑕疵物件とは、取引の当事者が予想していない欠陥のある不動産のことをいいます。この欠陥のことを「瑕疵(かし)」と呼び、瑕疵のある物件が「瑕疵物件」です。ここでいう瑕疵というのは、例えば部屋が物理的に破損していて使い物にならない場合(物理的瑕疵)、法律の規制で期待した用途に使えないような場合(法律的瑕疵)のほか、心理的瑕疵と呼ばれるものもあります。
 
心理的瑕疵とは、住む人に心理的抵抗や嫌悪感を与えるような事情です。不動産自体の品質や設備には問題がないものの、前の借主が部屋の中で自殺した場合や殺人事件、火事による死亡などの事情がある場合を指します。これらの瑕疵がある物件を「瑕疵物件」と呼び、中でも心理的な瑕疵のある物件は通常「事故物件」と呼ばれます。
 
不動産の賃貸契約で借主が瑕疵物件であることを知らずに契約してしまうと、本来望んでいた用途に不動産を使うことができず、思わぬ損害を被ることになります。そのため、貸主や不動産仲介業者には、借主に対して瑕疵の存在を告知する義務が負わされています。また、瑕疵のある物件は避けられることが多いので、相場よりも家賃が安くなっていることが一般的です。
 

部屋の中で死亡しても瑕疵物件にならない場合もある

では、部屋の中で人が死亡すればすべて瑕疵物件になるのでしょうか。この点について裁判例では、単なる病死は心理的瑕疵には該当しないと判断が下されています。自殺や火事などによる死亡とは違って、病死は一般的に起こることであり、それだけで心理的抵抗や嫌悪感が生じるとはいえないと判断されたということです。
 
ただし、病死の場合でも遺体の発見が遅れることによって建物に汚損が生じたような場合には、瑕疵物件となります。人が亡くなった後、遺体が腐敗して血液や体液などが体外に出てしまうと建物の内装などに染み込んでしまうことがあり、借主には心理的抵抗が生じるというわけです。
 
このような場合は、貸主や不動産仲介業者に告知義務が生じます。また、家賃が安く抑えられていることが多いでしょう。
 

心理的瑕疵のある物件に住むべきか

心理的瑕疵があることによって家賃が相場よりも安くなっていれば、借主にとっては家賃を節約できるメリットがあります。その金額では通常は住めないような物件に住むことも可能です。
 
また、心理的瑕疵というのは、文字通り借主が心理的に感じるだけのもので、通常は物件そのものの性能に問題があるわけではありません。したがって、気にならない人であればお得ということができます。霊魂などを信じている人などは強い抵抗を感じることがある一方で、全く気にしない人がいるのも事実です。
 
つまり、心理的瑕疵のある物件であっても、借主がそれを気にしないのであれば特に問題はなく、むしろ相場よりも安い家賃で物件を借りることができるチャンスということができます。
 

瑕疵物件に住むべきかどうかは借主の考え方次第

心理的瑕疵のある物件を気持ち悪いと感じたり、避けたいと感じたりする人は比較的多くいます。はっきりと霊魂などを信じていなくても、なんとなく嫌だという感覚を持つ人は少なくありません。だからこそ、心理的瑕疵のある物件は「事故物件」と呼ばれ避けられがちです。
 
しかし、心理的瑕疵が気にならない人にとっては、相場よりも安い家賃で物件を借りることができる大きなチャンスとなります。人によって、避けるべき物件となったり、お得な物件になったりするのが心理的瑕疵のある物件なのです。
 

出典

一般財団法人不動産適正取引推進機構 心理的瑕疵に関する裁判例について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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