更新日: 2024.02.26 その他暮らし
【ウルトラマン】怪獣バトルの被害総額は?復旧費用は「兆」単位!?
登場する怪獣は火を吹き、街を壊し、破壊の限りを尽くしていく。ウルトラマンは、そんな怪獣たちから地球を守るヒーローとして登場しますが、怪獣を投げ飛ばしてビルを壊したりして、やっていることはそう大差がないような気もします。
怪獣が1体登場すると、日本は、どれくらいの被害を受けるのかを調査しました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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怪獣が京浜工業地帯を破壊したら
すさまじい被害金額をたたき出した、一例を紹介します。
『ウルトラマン研究序説』によれば、ウルトラマンの第13話「オイルSOS」で登場する怪獣ぺスターは、日本経済を窮地に追い込みかねないほどの甚大な被害を出しています。
オイルを主食とするぺスターは、中近東諸国で油田やタンカーを襲っていましたが、科学特捜隊の中近東支部に警戒されて、日本まで逃げてきます。そんなぺスターが、日本で出現したのが、神奈川県川崎市臨海部のいわゆる京浜工業地帯。
まずぺスターは、タンクローリーを破壊します。
『ウルトラマン研究序説』によると、ここで登場するタンクローリーは、取り付け費用など全て込みで、1322万円という見積もりが出るといいます。映像では、1台のみの破壊ですが、コンビナートには常時20台のタンクローリーが待機しているため、これら全てが破壊されたとして、計算しています。
すると、この時点で被害額は、すでに2億6440万円となります。
ぺスターは、タンカーを一撃で沈めてもいます。登場するタンカーは、20万トン積載のもので、『ウルトラマン研究序説』では、およそ200億円と推定。また、タンカーに積んであった原油は、30億円と計算しています。
さらに、登場したコンビナートのオイルタンクは「1個を空にするのに30時間かかる」という作中のセリフなどから推測して、最新鋭のもので、20億円の10万キロリットルのタンクが主体となり、それよりも小さい8万キロリットルや、小型の2~3万キロリットルのタンクが混在する構成と判断しています。
映像内では、大小合わせて35基のタンクが爆発していることが確認できており、タンクの被害は720~780億円と算出されます。
もちろんタンクの中には、いくらか原油が入っており、当時のオイルショックを考慮して、操業率を65%程度に低く見積もったとしても、375万~398万キロリットル相当の原油が失われたことが想定され、その被害額は680~720億円に上ります。
ちなみに、これらは、研究が行われた1991年当時の原油相場を基にしており、仮に現在の原油価格で、同量の原油の被害額を算出すると、2500億円を超える被害額になります。この時点で、被害額は、1512億6440円。
しかし、研究では、付属設備も徹底的に破壊されているため、さらに、その倍程度の被害規模であったのではないかと推測しています。あまりに巨大な金額に驚くばかりですが、さらなる悲劇が突きつけられることになります。
怪獣が倒れても、人間の生活は続く
もちろん、放送される話のなかでは描かれようがないのですが、ウルトラマンが怪獣を倒して、空のかなたへ飛び去っていっても、私たちはハッピーエンドを手放しに喜ぶわけにはいきません。
私たちの生活は、その後も続くのです。
つまり復旧・復興を目指さなければなりません。タンクの建設には基礎工事も必要で、その工事費用は、京浜工業地帯のような埋め立て地の場合、通常よりも桁外れに巨大な金額になります。
『ウルトラマン研究序説』では、大手ゼネコンの証言を引用して、土壌から作り直さなければならないなどということになれば、1兆円規模の工事が必要になる可能性を示しています。体重2万5000トンのぺスターと、体重3万5000トンのウルトラマンが戦った後ですので、当然、致命的に破壊されていることが推測できるでしょう。
また、そもそも「コンビナートの後始末だけでも、モノがモノだけに撤去には100億くらいでは済まされない」とのこと。加えて、損害保険会社の協力で、破壊されたコンビナートを再調達費用で計算すると、1100億円という金額が算出できることが分かっています。
さらに、京浜工業地帯が壊滅することで、首都圏は電気不足にも陥ります。備蓄基地から電力供給されるまでに、4日以上かかることが推測され、その間に、日本経済はおよそ3兆円の打撃をこうむります。
そして、全てが元通りに復旧されるまでには、3年もの月日を必要とするそうです。
まとめ
もし、怪獣が毎週のように登場していたら、日本経済はとっくに破綻しています。2022年に公開された映画『シン・ウルトラマン』の興行収入は40億円以上ですが、そんなものは、ぺスターにかかればかわいいもので、まさに水泡に帰すわけです。
ボランティアで地球を守ってくれるウルトラマンには、感謝しかありませんが、被害総額を考慮するともう少しだけやり方を考えてほしいと思わないこともありません。
出典
『ウルトラマン研究序説』SUPER STRINGS・サーフライダー21編著(中経出版)1991年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー