更新日: 2019.05.17 その他暮らし

家の中で「転落」「転倒」する高齢者も、高齢期の住宅リフォームをするときに知っておくべき支援制度

執筆者 : 新美昌也

家の中で「転落」「転倒」する高齢者も、高齢期の住宅リフォームをするときに知っておくべき支援制度
高齢期になると身体機能が衰え、ちょっとした段差、滑りやすい床、勾配が急な階段などで転倒するなどの事故が起こります。国民生活センターの資料によると、高齢者の事故の場所は、住宅が約77%となっています。
 
また、事故のきっかけで多いものは「転落」、「転倒」となっています。高齢者の場合、骨折、入院をきかっけに要介護状態になることも珍しくありません。自宅に住み続けるためには、バリアフリーリフォームなどが欠かせません。
 
ここでは、介護に役立つバリアフリーリフォームをするときに知っておきたい支援制度を解説します。
 
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

介護保険制度の住宅改修

生活環境を整えるための住宅改修に対し、要介護認定を受けた方は、要介護度に関係なく同一住宅で20万円(数回に分けて利用可)まで、介護保険の居宅サービスの利用限度額の枠外で介護保険が利用できます。
 
20万円(税込)を超える額は自己負担となりますので注意してください。引っ越しをした場合や要介護度が一度に3段階以上重くなった場合は、再度支給を受けることができますので知っておきましょう。
 
介護保険の住宅改修を利用するには、市区町村の介護保険課などの担当部署に事前に申請し承認を受けます。工事代金は、いったん利用者が全額負担し、申請後、代金の9割~7割が支給されます(償還払い)。
 
市区町村によっては、「受領委任払い」を選ぶこともできます。これは、利用者が事業者に保険給付分の受領を委任し、利用者は自己負担分のみを事業者へ支払うことにより住宅改修サービスが利用できる制度です。
 

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住宅改修の対象となる工事

介護保険の対象となる工事は以下のように小規模な工事となっています。
 

・手すりの取り付け
・段差や傾斜の解消(付帯する工事として転落防止柵の設置)
・滑りにくい床材・移動しやすい床材への変更
・開き戸から引き戸等への扉の取り替え、扉の撤去
・和式から洋式への便器の取り替え
・その他これらの各工事に付帯して必要な工事

 
小規模な工事とはいえ、いったん工事をしてしまうと、うまくいかなかったときに元に戻すのにお金や時間がかかります。手すりを取り付ける場合、住宅改修を利用しなくても、取り外しが可能な福祉用具を介護保険を使ってレンタルすることもできます。
 

業者選びのポイント

リフォーム業者は市区町村の指定を受けている必要はありませんが、手続きが煩雑なので、不慣れな業者に依頼すると手続きに1カ月以上かかったりします。トラブルも少なくありません。例えば、高い見積りを出されたり、耐久性のない壁に手すりをつけられてしまったり、不必要な工事や法外な請求をされたりなど……。
 
介護リフォームの知識や実績が豊富で、アフターフォローもしっかりしている業者を選ぶと良いでしょう。ケアマネジャーに相談してみてください。
 

自治体の高齢者福祉サービス

都道府県や市区町村では住宅リフォームを行う住民を対象に費用の補助などをする制度を設けているところが多くあります。
 
例えば、東京都練馬区では、65歳以上で、基本チェックリストにおいて一定の基準に該当し、要支援・要介護認定で非該当と判定された方を対象に、(1)段差の解消 (2)便器の洋式化 (3)床材の変更 (4)扉の変更 (5)手すりの取り付けの工事費20万円を限度に助成しています。介護予防のための助成制度です。利用者の本人負担は1割です。
 
自治体により対象となる工事や対象者など異なりますので調べてみましょう。
 

バリアフリー改修工事を行うと税額控除を受けられる

50歳以上の方、要介護または要支援の認定を受けている方、障害を持っている方など一定の方が、自ら所有し居住する自宅に、段差の解消、手すりの取り付け、トイレの改良、浴室改良など一定のバリアフリー改修工事をすると税額控除を受けられる場合があります。
 
この制度には、「投資型減税」と「ローン減税」があります。ローンの有無にかかわらず利用できる「投資型減税」の場合、国土交通省が示す標準的な工事費用(上限200万円)の10%をその年の所得税額から控除できます。最大控除額は20万円で、控除期間は1年です。
 
償還期間(返済期間)5年以上のローンを利用したときに利用できる「ローン型減税」もあります。控除期間は5年間で、最大控除額は総額62.5万円です。
 
さらに、所得税や住民税だけではなく、要件を満たせば、当該家屋に係る固定資産税額の3分の1が1年度分(工事完了の翌年度)軽減される制度もあります。
 
その他、バリアフリーリフォームの融資制度もあります。リフォーム減税や融資制度の概要は、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会のホームページで入手できる「マンガでわかる住宅リフォームガイドブック」が参考になります。
 
税額控除を受けるには細かい条件がありますので、工事を行う前に税務署などにご確認ください。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。