年収280万円なのに、アパートの家賃が「1万円」値上げになると通知! 生活がギリギリなので拒否したら「出て行ってほしい」と言われました。引っ越すしかないのでしょうか…
配信日: 2024.03.12
本記事では、賃貸物件の家賃の値上げを通知された際の対応方法などについて解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
家賃の値上げは可能なの?
賃貸物件への入居時に賃貸借契約書を交わしますが、この契約書には家賃や家賃の支払い方法などを含め、さまざまな内容が規定されています。そもそも契約時に定められた家賃を引き上げることに法的な問題はないのでしょうか。
結論からいうと、貸主と借主、当事者双方の合意があれば、家賃を変更することが可能です。借地借家法によると、当事者が家賃の値上げ(あるいは値下げ)を要求できる正当な条件として次の3つが挙げられています。
・土地や建物に対する税金などが増加(減少)したとき
・土地や建物の価格が上がる(下がる)など経済事情が変わったとき
・周辺の家賃と比較して不相応に安すぎる(高すぎる)とき
この条件に当てはまれば、貸主は借主に家賃の増額を求めることができます。一般的には契約更新のタイミングで家賃の値上げを打診されることが多いようです。
家賃の値上げをお願いされたら?
借地借家法による条件は、あくまで家賃の値上げを「請求」をできるというものです。つまり一方的なお願いであり、借主の合意がなければ家賃の値上げは成立しません。
経済的に苦しいなどの理由で家賃の値上げを受け入れられない場合は、合意しないという選択肢をとっても特に問題はありません。借主が値上げに合意しなくても、家賃はそのままで賃貸借契約が更新されます。
もちろん貸主の説明に対して「家賃の値上げはしかたがない」と納得するのであれば、承諾しても良いでしょう。
家賃の値上げを拒否して退去を求められたら?
家賃の値上げを断ると、貸主から退去するように告げられる可能性もあるかもしれません。
もしそのまま住み続けたければ、退去を求められてもこれまでどおりの家賃の金額を支払い続けるようにしましょう。きちんと家賃を支払っている限りは強制的に退去させられることはありません。
仮に家賃の受け取りを拒否された場合、法務局の供託制度を利用しましょう。家賃を法務局に預けることで、家賃を支払ったとみなされ、不支払いによる退去を避けられます。貸主との話し合いが難航する場合は消費者相談窓口などに相談するのも一つの方法です。
まとめ
家賃は固定費の中でも占める割合が多く毎月支払うものであるため、家計に大きな影響を与えるでしょう。場合によっては突然の値上げに応じられないということもあるかもしれません。家賃の値上げ請求は正当な理由があれば法的にも認められていますが、双方の合意があって初めて値上げは成立します。
家賃の値上げを承諾できないときは、その旨を貸主に伝え、これまでどおりの家賃を支払い続けるようにしましょう。
ただ貸主側も何らかの事情があって家賃の値上げをお願いしているものです。断固として断ると貸主との関係性が悪くなり住みづらくなる可能性もあります。気持ち良く住み続けられるように「値上げは○千円までにしてほしい」など交渉し、お互いが納得できる着地点を探すのも一つの方法です。
出典
e-Gov法令検索 借地借家法 第32条 借賃増減請求権
法務局 供託手続
執筆者:山田麻耶
FP2級