【驚愕】救急車を呼ぶと「7700円」請求される!? 三重県 松阪市で「一部有料化」が進む理由を解説
配信日: 2024.04.20
日本では救急車は無料で利用することができますが、もしアメリカと同様に有料化したらどう思いますか? 実は日本でも三重県松阪市で救急車の一部有料化が進められています。本記事では松阪市の対応と、有料化した背景について解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
松阪市の対応
三重県松阪市では、救急体制、救急医療のひっ迫している状況を解消する一策として、2024年6月1日より一定の条件に該当した場合は選定療養費として7700円(税込)を徴収することになりました。
対象となる病院は済生会松阪総合病院、松阪中央総合病院、松阪市民病院の3つです。選定療養費の徴収の対象となるのは、救急車でこの3つの病院に収容され、診察等の結果として、基本入院に至らなかった患者です。次の条件を満たす場合には、徴収の対象とはなりません。
・入院に至った場合
・紹介状を持参している人
・公費負担医療制度の対象者
・災害により被害を受けた人
・労働災害、公務災害、交通事故に該当する人
・医師の判断による
つまり、救急車を利用した場合の費用である選定療養費は一律で7700円かかるのではなく、救急車が本当に必要であると判断された人は従来のように無料で利用できるということになります。
有料化した背景
松阪市が救急車の有料化を進めた理由として「救急体制、救急医療のひっ迫」があります。実は救急車の利用に関しては全国的に「緊急性のない利用」が問題となってきているのです。
東京消防庁によると、2022年中に受け付けた119番通報は、103万6645件(速報値)にものぼりますが、その中には緊急性のない問い合わせや、消防に関係のないものが約2割含まれていたそうです。具体的には「今やっている病院を教えてほしい」「電気が消えなくなった。なんとかしてほしい」といった内容までありました。
なお、同年の東京消防庁救急隊の出場件数は前年から12万8372件増え、87万2075件でした。また、救急搬送された人のうち初診医師により「入院の必要がない軽症」と判断された割合は53.4%で全体の半数以上を占めています。このような不要不急の救急車利用により「本当に必要な人」への救急対応が遅れることが懸念されているのです。
救急車は適切な利用を
救急車は万が一のときに駆けつけてくれるものですが、救急車の台数も救急隊員の人数も無限ではありません。すべての通報に対応していては、本当に必要な人のところへ駆けつけるのが遅れることも考えられます。
本来、救急車は「病院まで運んでくれる便利なもの」ではなく、「一刻を争う人を救うもの」であることを忘れてはいけません。そのため救急車を呼ぶ前に、その必要性と緊急性を考えてみましょう。もしも救急車を呼ぶべきか迷ったら専門家のアドバイスを受けられる「救急安心センター事業」(♯7119)の利用もおすすめします。
出典
松阪市 三基幹病院における救急車利用の“選定療養費”について
東京消防庁 その119、本当に緊急ですか?
総務省消防庁 救急車の適時・適切な利用(適正利用)
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級