更新日: 2019.01.10 その他暮らし
節度が無く、年々盛り上がるハロウィーン。その経済効果も拡大している?誰か得しているのか?
渋谷の暴走行為や、ハロウィーンの起源の話はほかに譲るとして、その経済効果についてスポットを当ててみましょう。
Text:田中恭子(たなか きょうこ)
フリーランス・エディター&ライター
北海道大学卒業後、メーカー勤務を経て出版業界へ。自身の経験を生かした旅行、
アウトドア、ライフスタイル、自然などを得意とするが、ジャンル問わず、多方面
で活躍。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
クリスマスに次ぐ経済効果。でも……
一般社団法人日本記念日協会の調査によると、ハロウィーンの経済効果は、2012年には推定805億円でしたがじわりじわりと上がっていき、2016年の1345億円をピークに微減。今年は1240億円ほどを予想しています。
天候や社会情勢、選挙やスポーツなどほかのイベントの有無などによっても左右されますが、今やクリスマスに次いで2位をバレンタインと競い合っているとのことです。
東京ディズニーランドやUSJのイベントなどがハロウィーンの広がりに拍車をかけたともいえますが、商業施設や飲食店など多くの「商売」が便乗し、秋の足音とともに街は黒とオレンジのハロウィーン一色となります。
そういえば昨年から、宝くじのオータムジャンボもハロウィーンジャンボと名前を変え、なんかちょっとわくわく感がプラスされましたね。
コスプレを堂々と披露して非日常を楽しめる、そしてSNSにあげるのが楽しいとあって若者を中心に年々盛り上がっている感がありますが、経済効果が少しずつ減り始めている理由として、今年の猛暑や災害の影響も挙げられる中、「そもそもハロウィーンってなんだ?」とふと正気に戻って冷めている人たちも増えてきたとの見方もあります。
仮装以外、何をしたらいいかわからない
そもそも「何をしたらいいのかわからない」という人も多くいます。誘い合って仮装パーティーに出かける人がいればいいのですが、そんな仲間もいない人、家庭のパパやママは、何をしたらいいのでしょう。
街に出かけ騒いだ人たちも、お金を使ったかといえば、そうでもありません。せいぜいコスプレにかけるお金。練り歩き、SNSにアップするだけではそう経済効果は上がらないはずです。
実際は仮装をする人はごくわずかですし、日本では子供たちが家々を回って「トリック・オア・トリート」をすることも少ないので、アメリカで出費の第一位となっているお菓子の消費も、日本ではさほどでもありません。
それに比べればクリスマスは違います。部屋をデコレーションし、プレゼントを贈り合い、おしゃれをしてパーティーを開き、ケーキや鶏肉、普段はそうそう買えないスモークサーモンや生ハムなども、飛ぶように売れます。クリスマスの経済効果は約7000億円といいますから、格が違います。
非日常を楽しめば、ヒトも経済もちょっと元気に
日本では古くからハレとケを使い分け、ケの日常を地道に過ごしてハレの日はぱっと贅沢して暮らしてきました。人にも社会にも、メリハリは必要です。東京ディズニーランドに行って夢の国の仮装バージョンを楽しむのもよし、行政や商店会も巻き込んだ川崎や池袋のハロウィーンイベントもなかなかのもの。
ときどき「ハレ」を入れてやると経済も人間も元気になって明日からまた頑張れるのだそうです。ちょっとしたホームパーティーを開いたり、会社などで「この日は仮装しよう」なんてことをしたりするのも、小さな活力になることでしょう。
アメリカでは、ハロウィーンが過ぎると、サンクスギビングデー(感謝祭)、そしてその後はクリスマスに向けてまっしぐらと、大人にとってもわくわくする時期が続きます。そしてそれらの起源や意味合いを忘れることなく語り、意識を切り替えて、老若男女、それぞれの立場で楽しみます。
クリスマスが過ぎ一息つくとバレンタインデー、そして3月には緑のものを身につけなくてはならない「セントパトリックスデー」なんていうのもあり、プチ非日常が季節の移ろいとともに次々と続きます。
日本なりのハロウィーン、クリスマスもまたいいものです。プチ非日常を意識的に入れて、経済と自分を、ちょっと元気にしてやりましょう。日本の伝統行事にも、お正月をはじめ、季節を楽しみその日ならではの「うまいもん」を食べられる特別な日がたくさんありますので、非日常に飢えている若い人たちにも、ぜひ忘れないでおいてほしいものです。
Text:田中 恭子(たなか きょうこ)
フリーランス・エディター&ライター
監修:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者