差額ベッド代を支払わなくても良いケースって? 請求されたときに確認しておきたいこと
配信日: 2018.11.27 更新日: 2019.08.27
しかし、大部屋以外の部屋を利用しても、差額ベッド代を支払わなくて良いケースがあります。
このことを知らないと、病院から請求された金額をそのまま払ってしまうかもしれません。
そこで今回は、入院費用を節約するために知っておきたい差額ベッド代について解説します。
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。
目次
差額ベッド代とは
差額ベッド代とは、入院したときに大部屋以外の部屋を利用することでかかる費用です。条件の良い部屋を利用することにともなう大部屋との差額ということですね。
差額ベッド代が請求される部屋(正確には「特別療養環境室」といいます)は、以下の要件を満たす部屋のことをいいます。(※)
1.病床数が4床以下であること
2.面積が1人当たり6.4平方メートル以上であること
3.病床ごとに、プライバシーの確保を図るための設備を備えていること
4.少なくとも下記の設備を有すること
ア 個人用の私物の収納設備
イ 個人用の照明
ウ 小机等及び椅子
差額ベッド代がかかる部屋は個室というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、実際は4人部屋まであります。
個室でなくても、大部屋より条件の良い部屋で入院すると差額ベッド代がかかるということを覚えておいてください。
差額ベッド代は、自らの意思で利用しなければ支払う必要がない
厚生労働省の保険局は、病院が患者に対して差額ベッド代を請求してはいけないケースについて通知(※2)を出しています。それは以下の3つです。
・治療上の必要性がある場合
免疫力が低下して感染症にかかる可能性のある場合や、病状が重いため他の患者と同室にすべきでないと医師が判断した場合などが該当します。
・病院の都合でやむを得ず利用する場合
大部屋に空きがない場合や、感染症に感染している患者で、院内感染を防止するために個室を使用させるような場合が該当します。
・患者から同意書による同意の確認をしていない場合
差額ベッド代のかかる部屋の利用について、患者本人の意思によることを確認する同意書がなければ、病院は差額ベッド代を請求できません。
支払う必要のないはずの差額ベッド代を請求されたときはどうすればいい?
経営が順調な病院に入院していれば、本来なら患者が支払う必要のない料金を請求されることはないでしょう。
しかし、現実にはそうした病院ばかりとは限りません。
そのため、患者が知らないのをいいことに、同意書にサインを求めることはあり得ます。
現実に差額ベッド代のトラブルはとても多いです。
もし、不当に差額ベッド代の支払いを求められていると感じた場合は、同意書にサインをしないようにしましょう。
それでも同意を強く求められた場合は、厚生労働省保険局による通知のことを伝えてください。
そうすれば、病院も対応を変えるはずです。
差額ベッド代は払えるよう準備しておき、なるべく払わない
ただし、入院したら大部屋に入ればいいからということで、何の備えもしないのはおすすめしません。
なぜなら、大部屋では不満になることもあるからです。
例えば他の患者さんと相性が合わない場合や、症状が辛いので静かな部屋でゆっくりしたいと考える場合などです。
このような理由で大部屋以外の部屋を利用するのであれば当然、差額ベッド代を支払わなければなりません。
そのため、差額ベッド代は支払えるように準備をしておいて、なるべく払わないようにするというのが正しい考え方と言えるでしょう。
一度、近所の総合病院のホームページを見て、差額ベッド代がいくらくらいなのか確認してみてください。
筆者の場合は古い病院なのに、意外なほど高くて驚きました。
差額ベッド代は病院によってまったく違います。あらかじめ調べておけば、いざというときにあわてなくてすみますよ。
※厚生労働省『「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について』より引用
※2厚生労働省『「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について』を参考にしました。
Text:横山 琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター