7月から「新紙幣」が発行されたけど、今までのお札を60年持っていれば「プレミア」がつきますか? 番号が“ゾロ目”だと高くなるのでしょうか?
配信日: 2024.07.10
新紙幣が発行されるということは、これまで慣れ親しんだ紙幣は新たに発行されなくなります。「今までの紙幣に希少価値がつくかもしれないし、60年くらい取っておこうかな?」と思う人もいるのではないでしょうか。
本記事では、発行停止日が1965年1月4日、つまり59年前であるB千円券(表面に聖徳太子、裏面に法隆寺夢殿)を例にあげて、60年後にプレミアがつくのか、保管しておく価値があるのか考えていきましょう。
なお、発行は停止されていますが、現在もB千円券は効力があり、銀行に行けば額面金額の現紙幣と交換可能です。
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
ネットオークションでは1.5~2倍程度で取引
大手ネットオークションサイトでB千円券の取引を確認してみたところ、「並品」と呼ばれる流通によってしわや汚れがついたものが、1500円~3000円ほどで取引されています。
B千円券は紙幣ナンバーがアルファベット1桁で始まるものと、2桁で始まるものがあり、1桁で始まるもののほうが価値は高いとされています。なおアルファベット1桁の紙幣のほうが早く発行されたもので前期、後から発行された2桁で始まる紙幣を後期と呼ぶこともあり、明確に価値が違うと考える買取業者もいるようです。
実際オークションサイトを見ると、アルファベット1桁のもののほうが高額で取引されています。B千円券に限らず、発行が古い紙幣のほうがプレミアはつきやすい傾向にあるため、取っておくつもりなら、なるべく番号が若いものを選んだ方が良いかもしれません。
アルファベット2桁でも新札であれば3000円で取引されているものもあるので、少しでも良い状態で保管しておきたいものです。
プレミアがつきやすい紙幣は?
将来プレミアをつけたいのであれば、「プレミアがつく紙幣」の特徴を抑えておきましょう。
まず代表的なのが、エラー紙幣と呼ばれるものです。印刷の一部が欠けている、絵柄がずれている、紙幣の角がカットされず余計な紙が残ったもの(通称耳付き)などがあり、通常市場に出回る前に取り除かれるはずの紙幣なので、非常に価値が高いとされています。
また、紙幣の番号にも注目です。「111111」のようにゾロ目になっている、「123456」のように階段状になっているなどは希少性が高いといわれています。
希少価値が高い紙幣がないか、自分の財布の中を探してみてはいかがでしょうか。
60年で物価は4倍以上に! プレミア以上に紙幣の価値はなくなる?
現在の紙幣を60年間取っておけば、もしかしたら額面以上の金額で売れるかもしれません。ただし、60年後のお金の価値について考えておく必要があります。
日本銀行によると、2022年を100とした場合の消費者物価指数は、B千円券が支払停止となった1965年は23.9だったのに対し、2023年は106.6。58年間で物価は約4.46倍となっているため、4460円以上で売らないと、損したことになってしまいます。
60年後の紙幣の価値も物価もどうなるかは分かりません。しかしながら、現状を考えると誰が見ても価値がつくと思えそうなエラー紙幣や珍しい番号がついている紙幣でなければ、今以上の価値がつくことは難しそうです。
60年後まで取っておくよりは、銀行や証券会社などに預けて資産運用したり、旅行やおいしい食事に使って今を楽しんだりしたほうが期待値は高いかもしれません。
出典
日本銀行 昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士