更新日: 2021.06.21 キャッシュレス

消費税増税にともなうカード決済へのポイント還元。中小店の事業主はキャッシュレス決済導入を考えたほうがよい?

消費税増税にともなうカード決済へのポイント還元。中小店の事業主はキャッシュレス決済導入を考えたほうがよい?
2019年10月に8%→10%に消費税が上がります。消費税は所得に関わりなく一律で税率をかけるため、所得税の所得が高いほど税率が高くなる累進課税と異なり、所得が少ない方にも一律に負担が増えることになります。
 
そこで、消費増税に伴う消費の落ち込みを防ぐために、政府はクレジットカード・デビットカード・QRコード決済をした場合、5%分をそれぞれのカードのポイントで還元する予定です。
 
これは、クレジットカードなどのキャッシュレス決済があまり普及していない中小型店でキャッシュレス決済をすると、クレジットカード独自のポイントの他に5%のポイントを上乗せするというものです。
 
現金で普段支払う方も、増税後はキャッシュレス決済の方が5%トクをすることができます。
 
大堀貴子

執筆者:大堀貴子(おおほり たかこ)

CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員

2008年南山大学法学部法律学科卒業後、大手証券会社で、営業として勤務。主人のタイ赴任がきまり、退社。3年間の在タイ中、2人をタイで出産、子育てする。本帰国後、日本で3人目を出産。現在、3人の子育てと長女の国立小学校受験に奮闘中。子供への早期教育の多額の出費、住宅ローン、子供の学資資金、また老後資金準備のため、いろいろな制度を使って、資産運用をしています。実際の経験を踏まえた、お金に関する、役立つ情報を発信していきたいと思います。

日本はキャッシュレス決済普及率が低い!

では、キャッシュレス決済はどれくらい普及しているのでしょうか。経済産業省によれば、日本のキャッシュレス決済の普及率は18.4%となっており、圧倒的に普及率が低いことが分かります。
 
■各国のキャッシュレス決済普及率(2015年)

 
※その理由としては、コンビニATMや銀行ATMなどが充実しており、現金を引き出しやすいこと、中小店がカード決済に対応していないこと、現金を持ち歩いても大丈夫という治安の良さ、現金の自動計算ができるレジの処理能力の高さなどが挙げられます。
 
しかし、現金支払いの社会には無駄なコストがかかります。直接的な輸送・印刷費用、ATM設置・維持費用として、年間1兆円超のコストがかかります。
 
さらに、外国人旅行客、つまりインバウンドを増やすにあたり、中小店でもカード決済が利用できると外国人旅行客の集客力アップにつながるので、政府としてもキャッシュレス決済を推進しています。
 

「現金払いのみ」のお店を経営している中小店事業主の方も、キャッシュレス決済の導入を考えてみては?

まず、キャッシュレス決済には専用レジ(POS)と、カードを通す決済端末(CAT端末)が必要です。
 
時期は未定ですが、中小店なら専用レジ導入費用の3分の2を国が負担し、残りをカード会社が負担する予定となっています。事業主の負担は実質ゼロになるため、キャッシュレス決済を導入しやすくなります。
 
一方、店側は売り上げの一部を、手数料としてクレジットカード会社に支払う必要があります。
 
規模の小さい中小店の場合、4~5%の高い手数料となることが多かったのですが、このポイント還元を利用する場合は、上限3.25%に抑えることが条件となっています。そのため、有利な条件でキャッシュレス決済の導入ができます。
 
手数料は支払う必要がありますが、現金以外で支払うことができるようになるため、外国人など、より多くの集客アップにつながり、客単価も上がる可能性があります。
 
さらに、現金が減ることでお釣りや会計処理に間違いが起こりにくく、手間がかからなくなります。
 
他方、キャッシュレス決済端末を導入するデメリットは、いつお金が入ってくるかという入金サイクルと、仕入れの関係によって生じる現金不足に陥る危険性です。
 
決済代行会社との契約で異なりますが、特定の締め日が設定され、月に1回入金されることがほとんどです。仕入れには現金支払いの場合が多いことから、現金不足に陥る可能性があるのです。
 
キャッシュレス決済端末を導入するときは、きちんと入金サイクルと仕入れ資金を考えて現金不足に陥らないようにしましょう。
 
※出典 (参考)平成30年4月 経済産業省 キャッシュレス・ビジョン
 
Text:大堀 貴子(おおほり たかこ)
CFP(R)認定者 第Ⅰ種証券外務員

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