介護施設に入所する母の預金が「500万円」あります。「自動継続の定期預金」に切り替えれば更新されるので「休眠預金」になるのを防げるでしょうか?

配信日: 2024.09.13 更新日: 2024.09.17

この記事は約 4 分で読めます。
介護施設に入所する母の預金が「500万円」あります。「自動継続の定期預金」に切り替えれば更新されるので「休眠預金」になるのを防げるでしょうか?
父母が介護施設に入所すると生活環境が変わるため、以前と比べて自由に出歩く時間が限られるかもしれません。
 
それに伴い、本人名義の口座は各種支払いや引き出しなどの回数が以前と比較して大幅に減ってしまうでしょう。取引しない期間が長いと、いつの間にか休眠預金になってしまうかもしれません。これを回避すべく、自動継続型の定期預金を活用する方法は、有効なのでしょうか。
 
この記事では、休眠預金になる条件や、防止する方法について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

休眠預金とは

休眠預金とは、預金口座のうち、取引した履歴が10年以上ないもののことです。複数の銀行口座を保有している場合、頻繁に使用するメイン口座と、たまに使用するサブ口座に分けているケースもあるでしょう。
 
サブ口座の数が多いと、少しだけ使用したまま放置しているものもあるかもしれません。ほとんど使用しない預金口座であっても、数年に1回は入出金や振り込みなどを行っている場合は問題ありません。しかし、そうでなければ休眠預金とみなされてしまいます。
 
2018年1月施行の「休眠預金等活用法」により、取引した形跡が一定期間以上ない預金のうち、10年以上のものについて、「休眠預金」と定義されました。
 
もしも休眠預金となっても、心配する必要はありません。その場合には、銀行などで所定の手続きを行えば、口座にあるお金を引き出すことが可能です。預けていた期間の利息も受け取れます。
 

定期預金の自動継続で休眠預金となるのを防げるか

定期預金のうち、満期を迎えたときに同じ条件で定期預金が継続されるのが「自動継続型」です。「更新が行われるのであれば、大丈夫だろう」と考える人もいるでしょう。しかし、定期預金の自動継続は取引とは認められず、そのまま何もせずにいると、休眠預金になってしまいます。
 
自動継続の定期預金をしている口座が休眠預金となるのは、最初の満期日から数えて10年です。今日から定期預金を始めたと仮定すると、満期日が1年後の場合、そのまま放置していれば11年経過すると休眠預金になります。満期日が3年後であれば、13年後です。
 
なお、入出金などが最後に行われてから9年以上が経過すると、金融機関から預金者に対して通知が送付されます。したがって、基本的には、何のアナウンスもなく一方的に休眠預金にされてしまうわけではありません。
 
銀行など金融機関から送られてきた通知をきちんと受け取れば、さらに10年間は休眠預金として扱われることはなく、通常どおり使用可能です。引っ越しなどにより住所が変わったにもかかわらず、その手続きをしていなかったために通知を受け取れなかった場合は、休眠預金とされてしまいます。
 
ただし、注意しなければならないことがあります。通知が送付されるのには条件があり、該当する口座に1万円以上の残高がなければいけません。1万円未満であれば送付されず、理由がわからないまま、「ATMで長らく使用していない口座からお金を引き出そうとしたら、できなかった」という事態に陥る可能性があります。
 

休眠預金を防ぐには

休眠預金を防ぐには、10年以内に預金を「異動」させなければなりません。表1の通り、「異動」の定義には2種類あり、全ての金融機関で共通しているものと、金融機関が行政庁の認可を受けて「異動」として扱うものが存在します。
 
表1

全金融機関共通で異動として扱われるもの 金融機関ごとに異動の定義が異なるもの
・入出金(金融機関による利子の支払を除く)
・手形または小切手の提示等による第三者からの支払請求(金融機関が把握できる場合のみ)
・公告された預金等に対する情報提供の求め
・通帳や証書の発行、記帳、繰越
・残高照会
・契約内容・顧客情報の変更
・口座を借入金返済に利用する申出
・預金等に係る情報の受領
・総合口座等に含まれる他の預金等の異動

出典:金融庁「休眠預金等活用法」より筆者作成
 
預金の入出金は、全ての金融機関において「異動」として扱われます。よって、休眠預金にならないためには、最後に利用してから10年以内に入出金を行うのが一番確実であり、手っ取り早い方法であるといえそうです。また、表1によれば、定期預金の自動更新はどこも「異動」として扱いません
 

休眠預金は預金の異動で防ぐことができる

休眠預金になっても、預けたお金はなくなりません。各金融機関の窓口で所定の手続きを行えば引き出せますが、口座名義人である母が介護施設に入所してしまうと、そのような機会を作ることもなかなか難しいかもしれません。よって、そのような事態にならないように注意を払う必要があります。
 
長らく使用していない母名義の口座があれば、まずは入所前に入出金を行い、その後は毎年あるいは数年に1回の割合で同じことをして、休眠預金になることを避けましょう。この方法が最も確実かつ簡単な方法といえます。
 

出典

金融庁 休眠預金等活用法Q&A
ソニー生命 10年以上放置の預金に注意!休眠預金Q&A 休眠預金とは?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集