更新日: 2024.10.22 その他暮らし
賃貸物件に住んでいますが「家賃値上げ」の案内が突然届きました。理由の記載もないのですが、従った方がいいのでしょうか?
今回は、家賃の値上げに納得できていなくても同意なしで実行されるのか、また納得できていないときの対応方法などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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家賃は同意なしで上げられる?
基本的に、家賃の値上げに納得できないときは、値上げを拒否できる可能性があります。
民法第522条によると「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」とされているためです。契約の変更は、内容を変更して新たに契約を結ぶことになるため、成立条件も民法で定められているように当事者間の合意が必要です。
さらに、借地借家法第32条1項によると、最初に契約をした時点で、賃貸料の増額をしない旨の記載がある場合には、その定めに従うとされています。そのため、家賃の値上げを告げられた際には、まず契約書に記載がないかチェックしておきましょう。
もし「家賃の値上げはしない」と明記されていた場合は、法律で定められていることを告げることがおすすめです。
家賃を値上げできる条件とは
家賃の値上げをしないことが契約書に書かれていないとき、家主は借り主へ値上げを請求できるケースがあります。
借地借家法の第32条1項では「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」とされているためです。
例えば、当初は家賃3万円で契約していたものの、物価や固定資産税の増加などにより家主が値上げを求めた場合は、値上げが認められる可能性があります。
理由の記載がなかった場合は、法律で定められている条件に該当しているのか確認してみましょう。
家賃の値上げに納得できないときの対応方法
仮に家賃の値上げを請求できる条件に当てはまっていたとしても、不服がある場合はまず交渉をしてみましょう。値上げ幅をおさえてもらえる可能性があります。
また、話し合ってもなかなか交渉がまとまらないときは、簡易裁判所へ調停を申し立てることになるでしょう。調停でも話し合いが成立しないと、訴訟へと移行する可能性があります。なお、費用は訴訟を起こした側が負担するため、増額に対して自分が納得できずに訴訟をするときは、費用がいくらかかるのかを確認しておきましょう。
調停や訴訟中の家賃は、従来の価格を支払えば問題ありません。ただし、裁判により増額が認められた場合、家賃との差額と年1割の利息を支払う必要があるようなので注意が必要です。
例えば、今まで月に3万円の家賃が4万円に値上げされると聞いて訴訟を起こし、1年後に値上げの判断が下されたとしましょう。このケースだと、値上げ後の賃料の差額1万円を12ヶ月間支払っていないため、12万円とその利息1万2000円を家主へ支払います。
訴訟になると、費用も時間もかかるうえに、家主との関係性も悪化する可能性もあるでしょう。可能であれば、話し合いで解決することをおすすめします。
まずは家賃値上げの理由を聞くことが大切
理由なく値上げを告げられたときは、まず理由を聞きましょう。土地代や物価、各種税金の上昇が原因の場合は、法律で値上げの請求が認められています。
ただし、勝手に値上げされるわけではなく、基本的には双方の合意が必要です。理由を聞いても納得できないときは、しっかりと話し合いましょう。
交渉でも決まらないときは、調停や訴訟を行う方法もありますが、費用や時間がかかる点に留意する必要があります。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索
民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百二十二条
借地借家法(平成三年法律第九十号)第三十二条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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