更新日: 2019.09.18 その他暮らし
人口が減って世帯数は増えているナゾ!原因は社会的な問題
世帯数が増えた要因のひとつとして、高齢者が昔のように自分の子供の家族と一緒に住まなくなっていることが挙げられます。そこで今回は、自分の親が一人暮らしになった時に、具体的にどういったことに気をつければ良いかを考えてみたいと思います。
人口は減り、世帯数は増えている
厚生労働省の平成 28 年 国民生活基礎調査によると、日本では世帯数が年々増加しています。
人口が減っているのに世帯数が増えているのは、単独世帯、つまり一人暮らし世帯が増えていることが原因のようです。
この調査の概要をみると、65 歳以上の者のいる世帯のうち、高齢者世帯の世帯構造は「単独世帯」が 655 万 9 000世帯(高齢者世帯の 49.4%)、「夫婦のみの世帯」が 619 万 6 000世帯(同 46.7%) となっています。
そのうちの「単独世帯」は、男性が 31.9%、女性は 68.1%で、性別に年齢構成をみると、男性は「65~69 歳」が 35.5%、女性は「75~79 歳」が 21.4%で最も多くなっています。
配偶者が亡くなったり、子供たちが独立したりして、一人暮らしをするお年寄りが増えています。中でも平均寿命の長い女性は、かなりの高齢になっても一人暮らしをしていることが多いようです。
自分の親が一人暮らしをすることになったら
親と離れて暮らしている場合、ご両親が元気なうちは、普段あまり連絡をせずに過ごしているという方も多いと思います。
しかし、父親もしくは母親が一人暮らししているとなると、体力も衰えてきているのに「一人で大丈夫だろうか?」と心配する気持ちが強くなりますよね。事情が許せば一緒に暮らすことになるでしょうが、「一人のほうが気楽だから」「慣れた土地で暮らすほうが良い」などの理由で、親御さん本人が同居を希望しない場合もあるでしょう。
それでは、親が一人暮らしをすることになったら、どのような準備が必要になるのでしょうか。
・いつでも連絡が取れるようにしておく
自宅の電話番号だけでなく、携帯番号やメールの連絡先を把握し、できるだけこまめに連絡を取り合うようにしたいですね。親しくしている友人や、ご近所の方とも連絡が取れるようにしておく、習い事や、よく行くお店なども把握しておきましょう。
・通院している医療機関や常備薬を確認しておく
体調を崩した時のために、保険証や介護保険証、通院している病院の診察券のコピーをとっておき、主治医についても確認しておくと良いと思います。
・通帳や印鑑、重要書類の場所を確認しておく
いざという時のため、預金通帳や実家の不動産を証明する書類などの保管場所を、聞いておくようにしましょう。
・「見守りサービス」を検討する
最近はセキュリティ会社などの「見守りサービス」もありますので、検討しても良いと思います。利用者の状況に応じて、安否確認や、緊急時の対応などを依頼できるものもあります。これは、ある程度自立した生活を送る高齢者を対象としています。
見守りサービスには訪問型もあります。
主に、郵便局や電気・水道などの会社が、日頃から管轄エリアを巡回していることを活かし、高齢者の自宅を訪問します。そこで相談されたことや、食事の状況などを記録し、遠方の家族に伝えるといったことが主なサービスです。
これらの費用は、介護保険などが適用されないため全額自己負担となり、月額請求されるのが一般的です。一例として、郵便局の見守り訪問サービスは月額2500円(税別)です。
・行政のサービスを検討する
行政のサービスについても確認しておきましょう。
例えば「日常生活自立支援事業」などがあります。
全国の社会保険福祉協議会が行っている事業で、軽度の認知症などの症状がみられ、普段のお金の管理に不安がある高齢者などを対象に、小口の現金管理を行ったり、定期的な訪問により生活変化を察知してくれるサービスです。
軽度の認知症の症状などがあっても、「本人に一定の判断力がある」という人が対象で、1回の訪問につき1200円(平均)程度と、料金が安いことも特徴です。なお、日常生活の範囲内に限定したサービスなので、高額の財産管理や法律行為の代理などについてはできません。
・施設や介護が必要になった場合について検討しておく
一人で生活ができなくなることを見越して、早めに備えておくことも重要です。
介護が必要になったら、同居するのか、主に介護するのは誰か、お金についてはどのように負担するか、本人の気持ちも尊重しながら事前に検討しておきましょう。その時になってから慌てないようしっかり考えておくことが大切です。
親御さんの一人暮らしは心配なことも多いと思います。まずは普段の生活の様子をよく把握するよう努め、特にお金のことについては、本人や家族とよく話し合っておくことと、先のことまで考えて早い段階から準備することが重要です。
出典:
厚生労働省「平成 28 年 国民生活基礎調査の概況」
厚生労働省「日常生活自立支援事業」
執筆者:藤丸史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー